2009年3月
(戦略プロポーザル)Dynamic Observation と Modeling の協奏による「界面現象の実環境動的先端計測」~劣化しない環境・エネルギー材料実現のために「見えないものを見る」/CRDS-FY2008-SP-12
エグゼクティブサマリー

米国では2009年1月にオバマ大統領が就任し、グリーン・ニューディール政策が実施されようとしている。世界的にみても、環境・エネルギー技術が今後の産業のコアになることはほぼ確実である。自然エネルギーの利用や省エネ・省資源を推進していくためには、薄く分布したエネルギーを取り扱うことを可能にする劣化しない大面積のデバイスの実現が求められる。
しかし、劣化しない大面積デバイスを実現するためには、製品と劣化現象の間にある巨大な空間的・時間的ギャップを乗り越える必要がある。例えば、大面積のデバイスは、サイズがメートルオーダーであるが、劣化の起点となるのは主に界面で発生する欠陥であり、その大きさは原子・分子のサイズである。また、化学結合が光によって切断されるメカニズムはフェムト秒(fs; 10-15秒)オーダーで解析を行う必要があるが、劣化しない材料の持つべき寿命は10年オーダーである。このような大面積デバイスにおける空間的・時間的ギャップを乗り越えるためには、人間の想像力や直感力に訴える「動的な映像=イメージ」を描き出すような先端計測技術の開発を行うことによって、日本が持つ緻密で信頼性の高いモノづくり技術の優位性を高めることが必要である。
そこで、Dynamic Observation と Modeling の協奏による「界面現象の実環境動的先端計測」を提案する。この「界面現象の実環境動的先端計測」とは、再現された製造過程や使用状況において、実環境下の界面におけるナノプロセスをダイナミック(動的)に測定し、劣化というマクロレベルで起きる現象を予測するための新たな計測アプローチである。具体的には、ほぼ完璧な界面制御が可能な製造プロセスを創造することを目的として、計測法とモデリングが協調しながらナノからメソ へ、一方でマクロからメソへと、サイズと時間の二種類のギャップを埋める知見と科学的知識を得るための方法である。原子・分子レベルの科学的な知識を集積する計測を可能にし、ナノスケールの現象とマクロスケールの現象との連関をつけて、初めて劣化という実用的な難題解決の方向性を得ることができるだろう。

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