2009年2月
(戦略プロポーザル)サービスの効率化・高度化に向けた数理・情報科学に基づく技術基盤の構築/CRDS-FY2008-SP-06
エグゼクティブサマリー

この戦略プログラムは、サービスの効率化・高度化に資する基盤技術の研究開発を、とくに数理・情報科学の面から推進することを提案し、具体的な研究開発課題とその推進方法を提案する。

2004年12月に米国競争力評議会が発表したレポート”Innovate America”の中で「サービスサイエンス」が取り上げられたのが一つの契機となって、サービスサイエンス、あるいはSSME (Service Science, Management and Engineering)と呼ばれる分野に対する関心が各国で高まり多くの検討がなされている。しかし、この分野の全体像はまだ明らかにはなっておらず、「サービス」の定義にすら諸説があってコンセンサスは得られていない状況である。関係する学問分野も数理科学、情報科学、認知科学、心理学、経済学など多岐にわたり、さらに組織の経営、マーケティング手法、ビジネスの慣習やアイデアなどの要素も含まれる。このような異質の要素を統合した体系的な取り扱いが可能かどうか、多方面からの模索が続いている。

この戦略プログラムにおいては、上記のような多くの要素を統合する模索を続けるとともに、この分野で中心的な役割を果たすと考えられる数理・情報科学に焦点を当てて研究開発を推進することを提案する。サービスはその過程において人間の要素が大きく関わり、モノを対象とする場合に比べて不確実性・複雑性・一過性(非再現性)などの度合いが格段に強いという特徴を有する。このような特徴は数理・情報科学に対して新たな研究開発課題を提供する。これにチャレンジするため、次のような研究開発を推進することを提案する。

・複雑な現実のサービスを的確に構造化しモデル化する技術
・一定の不確実性を許容したシステム最適化技術
・センシング可能なデータを補完・統合し知識を抽出する技術
・複雑な因果構造をもったシステムを体系化し予測可能性を高める技術
・実際のサービスに適用するための要素技術統合(パッケージ化)技術

これらの研究開発を推進する方法として、公共性が高くかつインパクトの大きいサービス分野(例えば医療サービス)を選び、サービス提供者と数理・情報科学研究者が協働できる場を設定して、いくつかのプロジェクトを走らせ、それらを統合することによって理論と技術の汎化を図る。またこれと並行して、上記のような異質の要素を統合する模索も併せて継続する。

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