2009年1月
(戦略プロポーザル)太陽光エネルギーの利用拡大基盤技術/CRDS-FY2008-SP-03
エグゼクティブサマリー

本戦略プログラムでは、新材料の開発や光合成機能の活用等により、太陽光エネルギーの利用拡大の基盤を確立するための研究開発戦略を提案する。
21 世紀に入り地球規模の諸問題が顕在化している。その中でも、増大するエネルギー需要の充足と気候変動の主因であるCO2削減をどう両立させるかは緊急かつ長期的な重要課題である。基本的なエネルギー構成の変革シナリオは、以下の通りである。
(1)省エネルギーの実施
(2)自然エネルギーを含む再生可能エネルギーの最大利用
(3)化石燃料の有効利用とCO2の回収・隔離
(4)原子力の最大利用
本提案は、自然エネルギーのなかでも、無尽蔵のクリーンエネルギー源であるという点で、特に有望な太陽光エネルギーの変換によるエネルギー発生技術に関するものである。
太陽光エネルギーの利用は既にシリコン系太陽電池等を中心に実用化が進んでおり、その効率化のために政府による投資も行われている。しかし、低コスト化には壁があり、現在の技術では大幅な利用拡大は困難である。
一方、大幅なコスト低減が期待できる有機系の太陽電池や将来性のある太陽光による水素発生技術については、その基礎的な部分について民間では系統的に取り組まれておらず、多くの研究課題が残されている。また大学等においては技術シーズがあるものの、政府によるまとまった投資は行われていない。
我が国の大学等は、材料科学、化学、バイオテクノロジー等の分野で高いポテンシャルを有しており、それらを結集して基礎的な研究課題に取り組めば、大きな成果が期待でき、太陽光エネルギーの利用拡大のための基盤が形成されると考えられる。
具体的に国として投資すべき研究開発課題は以下の通りであり、技術パッケージとして中長期的に融合・連携させながら推進していく必要がある。
(1)有機系材料を用いた太陽光発電の基盤技術
(2)太陽光を利用した水素生成の基盤技術
(3)エネルギー変換システムとしての設計理論構築(上記の共通課題)
これらの課題はいずれも材料科学、バイオテクノロジーの最先端の技術を駆使し、また、物理学、電子工学、化学、生物学の融合研究により推進していくことが極めて重要であり、研究開発プロジェクトの実施にあたっては、融合・連携が促進されるような研究推進システムを整備する必要がある。また、並行して実施されるNEDO等の関連プロジェクトと補完し合う府省連携体制の導入が成功の必要条件と考えられる。
本提案は、日本の強みを生かしたイノベーション効果の高い基盤研究課題への投資戦略であり、技術基盤が確立して実用化が進めば、将来的に得られるリターンとしては、
(1)グローバルには地球環境保全への貢献
(2)国内的にはエネルギー自給率の向上への直接貢献
(3)競争力の高い新エネルギー産業の創出
が期待される。
以上が、緊急にスタートし、かつ、中長期的なスコープで実施されるべき戦略プログラムである。

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