2008年6月
(戦略プロポーザル)新世代ネットワークの実証的研究推進 - 社会への実装をめざしたネットワーク研究の提言-/CRDS-FY2008-SP-02
エグゼクティブサマリー

ネットワーク産業は国家の重要社会基盤を支える産業であり、この分野での国際的な競争で優位に立ち産業を維持発展させていくことは、産業振興と安全保障の面からも日本にとって重要である。このためには重要な研究課題に取り組むとともに、中長期的に実証的研究力をもった人材育成を図らなければならない。また、実証的な研究(注)が大学内での人事評価システムや学会などでも十分に評価されるようにし、人材育成に大きな影響をもつ大学での研究体制を改善し、研究者、技術者をめざす学生の動機づけを向上させなければならない。このため次に示すような研究課題に取り組んで、実証的な研究を重視した研究体制を推進し、人材育成を図る。

1.「新しいネットワークアーキテクチャ」に関する研究課題
・ インターネットのふるまい、トラフィックのふるまいに関するモデルや理論の構築
・ 現在のインターネットアーキテクチャにとらわれない新しいネットワークアーキテクチャの基礎研究
・ アーキテクチャを検証し研究推進するための大規模、並列、統合型シミュレータの構築とその応用
2.「ネットワークディペンダビリティ」に関する研究課題
・ 重要な社会基盤としての安定性、信頼性の確保と、その評価にかかわる研究
・ 大規模災害を考慮した信頼性の高いネットワークとその評価手法の研究
・ 省エネルギーーに留意したネットワークアーキテクチャ
3.「ネットワーク情報信頼性」に関する研究課題
・ 情報の信頼性に関する研究
・ 情報の信頼性にかかわる社会制度に関する研究

IT分野、とくにネットワーク分野の研究では、基本的な技術シーズや原理原則が発見され、それが応用や実用化につながるという場合はまれであり、データ共有や安全な通信、帯域の有効、公平な利用といったような、利用者の要求を満たすために研究が発展したという経過をたどったものがほとんどである。したがってこのような特徴に注意し、それに応じたファンディングをしなければならない。そのためにも、社会ニーズや利用者の要求の抽出と整理、それに続く実証実験と実用化という一連の流れにそった研究開発の強化が有効である。


(注) ここでいう「実証的研究」とは、理論やアイデアを応用し、実用に供するソフトウェアシステムの構築を行い、ネットワークにおいて実際に利用され、検証、評価されるまでを睨んでの研究や、理論的裏付けは明らかになっていないが経験的に得られている知見やアイデアを基にしたソフトウェアなどを実装し、利用、評価されるような研究のことである。

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