2008年3月
(戦略プロポーザル)医薬品、医療機器等の審査・承認体制のあるべき姿/CRDS-FY2007-SP-15
エグゼクティブサマリー

最近の生命科学の進歩は目覚ましいが、その成果を医療の現場で用いるためには、人を対象とした臨床研究の実施が不可欠である。しかしながら、現在、日本において臨床研究は低調であり、新しい医薬品や医療技術の応用が遅れ、先端医療後進国となってしまっている。これは、既に高齢社会に突入し、更なる医療の高度化が必要となるわが国にとって深刻な問題である。
わが国の臨床研究が遅れている理由はいくつかあるが、特に重要な課題として、医薬品や医療機器、生物製剤などの審査・承認体制の問題がある。新たな医薬品候補物質などの審査・承認は、医療そのものが内包する不確実性を十分認識した上で、それらの安全性と有効性の科学的評価を行い、新しい医療として承認して、その恩恵を国民が迅速に享受できるようにするという重要な作業である。このため、世界各国で、その基準や手続きが検討され、改善が続けられているが、わが国の審査・承認の体制整備は、このような国際動向と比べ、明らかに遅れていると言える。
本提案では、政府や関連諸機関に対して、医薬品や医療機器、生物製剤などの審査・承認体制を改革するため、次のような施策を提言する。

1)審査・承認のための法制度の改正・整備
新規医薬品候補物質等を用いた臨床研究を行う場合の規定・審査管理を一元化する。
2)医薬品庁(仮称)の新設
現在のように、臨床研究に関する審査機関と承認機関が分離している体制を改め、厚生労働省医薬食品局の審査関連部署と医薬品医療機器総合機構とを統合し、医薬品庁(仮称)として体制を整備する。
3)審査・承認に関わる人材の強化
職務理念の徹底や人材交流の活発化によって、規制当局での人材の育成・強化を推進するとともに、新しいレギュラトリーサイエンスの考え方を審査側・開発側の双方に浸透させる。

これらの施策を導入することによって、より安全で有効な医療が、速やかに社会に普及し、国民の健康と医療の向上が達成される。そして、ライフサイエンス分野の科学技術の進歩、日本の医療産業の発展、更には日本の国際貢献の充実も期待できる。

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