2007年3月
(戦略プロポーザル)生態系の利用-保全連携研究/CRDS-FY2006-SP-17
エグゼクティブサマリー

生態系およびそれを構成する生物は、遺伝子資源、食料・医薬品・工業材料等の資源、環境制御機構等として社会にとって大きな価値を有するが、その価値が十分認識・利用されないまま、いわゆる開発行為によって劣化が進み、そのポテンシャルを失いかねない状況にある。

その一因として、生態系研究の多くが保全自体を目的としており、また生態系利用の推進者も、生態系の保全が活用のための基盤としてではなく、開発の「障害」であると捉えがちであることにより、両者の概念が対立し協力が進まないことが挙げられる。本来、生態系の保全と利用に必要とされる知見、科学技術は共通するものが多く、従って、両者を関連づけて研究開発・実行することが有効である。

本プロポーザルは、これからの社会の発展のためには、生態系の高度利用とその拡大が不可欠であると捉え、科学的知見と経済原理に基づき、生態系の利用とその基盤となる生態系の保全・再生・強化がなされるよう、両者の研究開発を連携し効率的に推進することを提案するものであり、緊急に研究開発を推進すべきものとして、以下の4つの領域を提案する。

1. 生態系およびそれを構成する生物を利用した食料・医薬品・工業材料と生産技術の研究開発
利用可能な新たな生物・生態系の探索とそれらの利用技術、生物・生態系を利用した低環境負荷・高効率有用物質生産技術。

2. 環境制御・調整機能を担う生態系サービスの劣化要因の解明とその影響評価および保全・再生・強化技術の研究開発
環境汚染や気候変動が、生態系と生態系サービス(生態系が人類にもたらす恩恵)に及ぼす影響についての高精度評価・予測技術、生態系および生物多様性の変化が気候・気象、水循環にもたらす影響についての高精度評価・予測技術。生態系の保全・再生・強化技術。

3. 生態系サービスの価値の調査・評価および順応的統合管理技術の研究開発
中長期にわたる生態系サービスの定量的価値評価技術、生態系サービスの潜在的供給力を最大限に利用可能とする管理・運用技術の研究開発。

4. エコオミクス-生態系機能の機構論的理解-の研究開発
生態系の構成要素である多様な生物の相互作用や生物と物理的環境との相互作用の網羅的解析、および生態系自体を支える生態系機能やそれらがもたらす生態系サービスの維持機構の理解。

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