2007年3月
(戦略プロポーザル)アグロファクトリーの創成 - 動植物を用いたバイオ医薬品の生産-/CRDS-FY2006-SP-16
エグゼクティブサマリー

本戦略プログラム「アグロファクトリーの創成」は、動植物のゲノムに外来遺伝子を位置特異的に導入し、人にとって有用なタンパク質を、人が利用しやすい形で、高効率かつ低コストで生産できるシステムの構築を目指すものである。

現在、バイオ医薬品の製造は、ヒトに近い糖鎖修飾が可能な動物細胞のタンク培養によって行われているが、この方法では培養細胞の生産性の限界や、培養タンクなどの高額な設備を要する点が大きな課題となっており、動物細胞培養系を超える次世代型生産システムの構築が期待されている。そこで、バイオ医薬品の効率的生産を可能とする、ヒト遺伝子を導入した動植物個体の作出に関する研究開発提案し、具体的課題を以下に述べる。

1.動植物ゲノムへの外来遺伝子の導入技術
分子量が巨大なタンパク質の場合、当該遺伝子をゲノムに安定に導入するための技術と、動物ゲノムの特定領域に導入するための技術の開発が必要であるため導入ベクターとともに、外来遺伝子を挿入したベクターを細胞に障害を与えずにゲノムに導入する方法の開発を促進させる。
2.植物における外来タンパク質の修飾技術
植物体に目的とするタンパク質を発現させても、そのタンパク質がヒトへの作用を有する活性型として機能しなければ医薬品としての価値を持たない。この活性型の鍵を握るのが細胞内での翻訳後修飾であるため、植物においてよりヒト型に近いタンパク質を生産するため、この糖鎖修飾の制御技術の確立を目指す。
3.植物における標的組織(器官)の物質集積制御技術
導入したタンパク質の収量を向上させるために、液胞および関連単膜系オルガネラの機能分化制御技術、タンパク質の細胞内外への輸送制御技術、貯蔵タンパク質の欠失技術などを確立し、収量向上、精製コストの大幅な削減にも繋げる。
4.発生ならびに生殖技術による遺伝子組換え個体の作出と外来物質生産能力の解析
外来遺伝子を安定的に組み込んだ細胞に、除核卵に注入することで、体細胞核の初期化(リプログラミング)が起こり、体細胞導入卵の数%が仮親の子宮で個体として発生する特性を生かしたリプログラミング効率向上の技術開発を行うとともに、研究に用いる卵の体外培養技術についても検討する。

本プログラムの推進により、低コストのターゲットタンパク生産システムの構築が可能となる。これは、製薬企業の製造プロセスの革新のみならず、トランスレーショナルリサーチの振興、オーファンドラッグの少量他品種生産なども促進する。また、高度遺伝子組換え技術によって、ヒト免疫系などの遺伝子群を導入した実験動物の作出も可能となり、従来の実験動物に代わる疾患治療モデルの創出も期待される。

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