2007年3月
(戦略プロポーザル)水素エネルギーシステムの分子・イオンテクノロジー/CRDS-FY2006-SP-15
エグゼクティブサマリー

水素エネルギーシステムは燃料電池を中心として高いエネルギー効率を達成するポテンシャルを有し、研究開発が進められているが、一次エネルギーの採取から消費までの総合エネルギー効率において、既存のシステムに比べ優位性を持つに至っていない。また、コストや耐久性などの大きな問題にも直面している。

上記課題の克服には現行技術の延長ではない大きなブレークスルーを要し、燃料電池、水素吸蔵材料内部の反応・劣化メカニズム解明や、それに基づく新材料の探索など基礎物理・化学に立ち戻った研究開発が必要であるため、本プロポーザルでは、以下の研究課題を推進方法も含め提案する。

1 燃料電池内の物理・化学メカニズムの解明と材料探索
・燃料電池の触媒電極、電解質膜内での水素(分子、イオン)や、水、触媒元素の移 動・輸送・反応と、それに伴う劣化メカニズムの解明
・高導電率・高安定性の電解質膜の探索
・高活性・高安定性・低コスト触媒電極の材料・構造の探索など

2 水素貯蔵材料内の物理・化学メカニズムの解明と材料探索
・水素貯蔵材料中の水素分子の吸蔵・放出およびそれに伴う劣化メカニズムの解明
・高貯蔵密度かつ、貯蔵・放出のための投入エネルギーが小さい水素貯蔵材料の探索など

3 システム構成材料の挙動を把握する計測技術の研究開発
・水素イオン、水分子、触媒、担体、電解質膜の挙動を観測できるIn-Situ可視化技術
・水素貯蔵材料の吸蔵・放出時の挙動を観測できるIn-Situ測定技術 など

水素は天然ガスや石炭などの非石油燃料、バイオマスなどの再生可能エネルギー源からも製造できることから、特に運輸部門での石油依存度の低減にもつながる。さらに、燃料電池自動車、家庭の給湯・発電コージェネレーションシステム、モバイル機器の電源、再生可能エネルギーの貯蔵など水素エネルギーシステムは幅広い応用が考えられ、実現したときの社会へのインパクトが大きい。上記に示した研究開発によって得られた知見を元に実用化開発がなされることで、初めて実用的な水素エネルギーシステムが実現する。

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