2007年3月
(戦略プロポーザル)医工融合によるイノベーションの推進-医工融合研究のグランドデザイン-/CRDS-FY2006-SP-14
エグゼクティブサマリー

我が国の臨床医学には長い伝統があり、国際的にも高い医療水準が維持されている。一方で、ライフサイエンスによる生命の理解に対して、膨大な研究資金が投入され研究成果としての知識が蓄積し、その統合的理解も進みつつある。しかしながら、臨床医学が基礎研究の成果を取り入れることを可能にするしくみが弱体であるために、ライフサイエンス研究の進歩が臨床研究、実際の診断・治療に効果的に結びついていない。そのため、高いポテンシャルを有するにもかかわらず、医療技術のイノベーションが、充分展開されていない。一方、我が国の製造業を支えてきた工学における技術的蓄積とその現実的課題解決のポテンシャルは世界的にみて非常に高い。

本戦略イニシアティブで提案する医工融合によるイノベーションは、この臨床医学とライフサイエンスにおける科学的蓄積を、工学を媒介として接続・融合し、三者の相互作用とそれぞれの発展を促進し、その本来有する高いポテンシャルから、臨床における社会ニーズを満たす新臨床技術としての社会的・経済的意義を引き出すことである。

医工融合によって開発される最先端医療技術は、細胞・分子レベルまでのミクロな診断と治療を可能にし、また、工学的な定量性と再現性に基づいてエビデンスベースの医療を可能にする。これにより、診断・治療の正確性と有効性、そして安全性は従来技術に比べて格段に進歩する。また、低侵襲・非侵襲の診断・治療が可能となり、それに伴う苦痛が極端に軽減される。さらにその技術は疾患の超早期発見を可能ならしめ、予防医学にも大きな貢献が見込まれる。その結果、多くの国民が健康で長寿な生活を享受できるようになる。

この分野への研究開発投資は巨額になるが、国民が現在より快適で質の高い生活を送ることが可能となり、社会的価値の向上につながる。またこの分野では技術革新が起こる確率は高く、日本が臨床研究、審査・認可制度を欧米並みに改善することと相まって、現在内視鏡や一部の医療デバイス以外では世界のトップに列する事が出来る企業がない状況を覆し、我が国の強みを生かした世界レベルの新たな医療産業が勃興する可能性が高い。

本プロポーザルでは、具体的な研究開発課題の構想を組みたてるにあたり、臨床医療技術の研究開発において社会・経済的価値を創造する顕著な成果を生み出すと同時に、ライフサイエンスや工学にも分野融合研究によって大きなイノベーションを誘発できるように設計した。

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