2007年3月
(戦略プロポーザル)VLSIのディペンダビリティに関する基盤研究 - 高信頼・高安全を保証するVLSI 基盤技術の構築-/CRDS-FY2006-SP-13
エグゼクティブサマリー

大規模集積回路(VLSI)のディペンダビリティとは、VLSIを組み込んだシステムがいつでも安心して利用できることを保証する性質である。現在の社会は高度に発達した情報システムに依存している。情報システムが提供するサービスは良質で信頼でき、生活と社会の活動が依拠できるものでなければならない。この現代の情報システムを支える重要な電子デバイスがVLSIである。

これまでのVLSI技術の進歩はひたすら微細化、大規模化、高機能化を目指して研究開発が行われてきた結果であり、この技術の順調な発展のおかげで、現代の社会生活はますますVLSI技術に依存してくることとなった。しかしながら、例えば、VLSIの微細化技術には物理的な限界が見え始めており、微細化限界に近づいた結果、製造プロセスにおけるばらつきや統計的ゆらぎが無視できなくなり、宇宙線による誤動作などの問題が顕在化している。さらに、VLSIの高度化により、VLSIの設計、製造、検査のプロセスが複雑化し、作業者のミスによるディペンダビリティの低下が重大な問題となっている。また、意図的な攻撃や個人情報の抜き取り、VLSIシステムの複雑化による要素技術同士の相互作用が引き起こす予想外の動作などが大きな情報システムを脅かす要因となっている。

これらの新たに発生している脅威に技術的に挑戦し、情報システムにますます依存する社会ニーズに応えるためには、これからのVLSI技術の研究開発の方向に高機能化の他に、ディペンダビリティを確保するための方向を付け加えるという戦略的な研究の流れの加速が必要となってきた。このような戦略の採用により、日本のVLSI技術力の先端性を生き生きと維持し、新しい科学技術フロンティアを切りひらくことができる。

VLSIのディペンダビリティを維持するためには、デバイス単体からアーキテクチャまでの各階層における研究開発が必要なことはもちろん、設計・製造・実装までの膨大なプロセスフローにおける新技術、人的エラーを想定した仕様策定技術、運用エラー抑制技術、また、人間の意図的な攻撃を制御する技術などの開発が必要となる。また、ディペンダブルなVLSIを社会的に実装するためには、ディペンダビリティの評価技術、ライフサイクル設計技術なども研究開発する必要がある。

VLSIのディペンダビリティに関する研究開発は、個別テーマの研究開発だけでは不十分であり、ディペンダブルなVLSIを実現するための技術を統合し、また製品のライフサイクルをスコープに入れたPDCAを回すような研究開発体制が不可欠である。

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