2007年1月
(戦略プロポーザル)自立志向型共同利用ナノテク融合センターの設置/CRDS-FY2006-SP-10
エグゼクティブサマリー

異分野融合と産学官の連携はイノベーション創出のための絶対条件である。特に、すべての産業に横断的にかかわるナノテクノロジーにおいては、学際的・業際的な融合を効率的に実現することにより研究の裾野が格段に拡大し、その結果、新しいフロンティアが拓かれる。別の表現をすれば、イノベーション創出のためには個々の具体的な研究開発課題への国家投資を用意するだけでは不十分であり、投資を有効に成果につなげるべく多くの異分野の研究者を引き付け、融合・連携を加速する具体的なシステム構築が喫緊の課題である。

そこで、そのような課題解決のため、「自立志向型共同利用ナノテク融合センター」の設置と全国ネットワーク化を提案する。「自立志向型共同利用ナノテク融合センター」とは、次の3 要件すべてを満たす共用施設である。
1 ナノスケールの加工・計測・造形・製造を一貫したプロセスとして実施可能な先端設備を集積した共用施設
2 異分野融合研究、産官学連携による研究開発、人材の交流促進などを優先的に支援するためのオープン(公平に外に開かれた)共用施設
3 国の予算をベースとして、受け入れ機関(法人など)側の拠出、地方自治体からのマッチングファンドおよび企業からの寄付金などを誘導確保し、かつ利用者課金システムと組み合わせて自立した継続運営を目指す共用施設

世界各国のナノテクノロジー国家計画においては、この種の自立型共用施設の設置と運営が戦略的に行われていて、例えば、米国、韓国、台湾では、ナノテクノロジー研究開発総予算のうち15 - 20%を共同利用施設などのインフラ整備に充当し、異分野融合の促進、研究の裾野拡大を図っている。一方、日本は、第3 期科学技術基本計画においてこの種のインフラ構築の重要性が明確に指摘されているにも拘らず、ナノテク・材料総予算の2-3%(ナノテクノロジー総合支援プロジェクト:2002-2006 年度)が充当されているに過ぎない。本プロポーザルは、共用施設の自立を志向する運営システム構築を提案するとともに、中長期戦略の視点から、全ナノテク・材料研究開発計画におけるこの種のナノテク融合センターの積極的位置づけおよび実質的な強化を促している。

本戦略は、⑴ナノテクノロジー諸先端設備の集積による充実した高効率の研究支援、⑵ナノテクノロジー関連産業や研究者の裾野拡大、⑶異分野融合と産学官連携の加速を目的とするものである。同センターは、課題解決のための共用インフラと研究開発促進のための新しいシステムを与えるものであり、中長期的な継続サービスが可能な運営機能を目指す。

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