2006年12月
(戦略プロポーザル)臨床研究に関する戦略提言-我が国の臨床研究システムの抜本的改革を目指して-/CRDS-FY2006-SP-08
エグゼクティブサマリー

我が国はこれまでライフサイエンスの基礎研究に多大な投資を行ってきており、ライフサイエンスに関する豊富な知識が蓄積されているが、臨床研究を実施するシステムが弱体であり、また審査認可機関にも問題があって、基礎研究の成果を迅速に実用化に繋げることが困難な状況にある。このような臨床研究に係る問題点は以前から指摘され、関係者間で問題認識は共有されており、それぞれの関係府省は改善のための諸施策を推進している。しかしながら、未だに欧米に比して迅速性、効率性などにおいて大きく後れを取っている。
臨床研究を承認するシステム及び審査認可するシステムを抜本的に改革し、新たな医薬品、医療機器の研究開発を迅速に行うシステムを構築することは政策の喫緊の課題であるが、関連の府省単独の努力のみでは限界があり、国を挙げてこれに取り組むべき時期である。多くの政策課題があるが、次の二点は最も重要で緊急性の高い施策といえ、両課題は可及的速やかに実施に移されることを提言する。

1.臨床研究基本法(仮称)の制定
以下の内容を含む「臨床研究基本法(仮称)」を制定し、それに基づき「基本計画」を策定し、国主導で臨床研究を強力に推進する。
1) 臨床研究推進の基本方針
2) 臨床研究推進本部の設置
3) 国・審査認可機関・大学・医師・産業界等の役割
4) 被験者の保護
5) 審査認可機関の拡大強化
6) 国民の理解の促進
7) 臨床研究推進基本計画策定の義務 など

2.臨床研究開発複合体の創設とネットワーク化された臨床研究実施機関の整備
充実した臨床研究の推進拠点として「臨床研究開発複合体」創設する。「複合体」は「臨床研究推進支援センター」「臨床研究を実施する病院」「先端医療研究開発センター」の3つの施設あるいは機能を有するものである。「複合体」では、最初にヒトを対象とした臨床試験を的確かつ効率的に実施する。また、「複合体」を中心に全国の大学・国立病院等の臨床研究実施機関を高速な情報システムで連結した「臨床研究ネットワーク」を構築し、我が国の臨床研究実施機関の協力体制を形成して、全国規模での臨床研究を強力に実施する。「複合体」には人材と資金を集中的に投入し、我が国の臨床研究の中核拠点とする。

上述のシステムが構築されれば、(1)国民が最新で質の高い医療を受けることが出来るようになり、健康で長寿な社会が実現できる、(2)新医薬品、新医療機器の研究開発効率が改善され、我が国の医療産業の国際競争力が増し再生が図られる、(3)ひいては、国民の経済的負担の軽減につながる、などの社会的効果が見込まれる。

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