2006年8月
(戦略プロポーザル)「柔らかい」エレクトロニクス基盤技術の研究開発/CRDS-FY2006-SP-05
エグゼクティブサマリー

本戦略プログラムでは、従来のシリコンエレクトロニクスに機械的な「柔らかさ」(伸縮できる、曲げられる、巻ける、折りたためる)という新しい特徴を付加した「柔らかい」エレクトロニクスの基盤技術の研究開発を提案する。この「柔らかい」エレクトロニクスは、エレクトロニクス分野の拡大や新市場の創造、ひいては日本のエレクトロニクス産業活性化にトリガーをかけられる有力な方策の一つになるものと期待される。
 エレクトロニクスにおける「柔らかさ」(伸縮できる、曲げられる、巻ける、折りたためる)、を実現するための技術を追及すると、必然的に大面積、薄い、軽量、省収納スペース、耐衝撃性、等の多くの特長も合わせて実現される。これらはシリコンエレクトロニクスが苦手としてきた特徴でもある。
 具体的応用として、例えば折りたたんで持ち運び可能なフレキシブルディスプレイをはじめ、大面積な対象物や曲面・複雑な立体形状にフィットするデバイス(センサ、アクチュエータ、太陽電池、バッテリー等)等のきわめて広い応用分野が、考えられる。「柔らかい」エレクトロニクスの代表的応用例の一つである有機ELディスプレイだけをとっても、その市場予測では2010年に約3,000-7,000億円、2015年には約2兆円の市場が開ける可能性があるとされている。
 これらの製品のうち一部やプロトタイプが作られているものもあるが、まだディスプレイなどの限られた製品分野に止まっているのが現状である。
 その理由は、材料、プロセス、デバイス・回路のいずれについても基盤技術の蓄積が充分とは言えず、限定的なプロトタイプは作製できても、それ以上の魅力ある製品を生み出すのに必要な技術的ブレークスルーが可能となっていないためである。機械的な「柔らかさ」をシリコンエレクトロニクスに付加して、新しい学問分野の創出、応用分野の拡大、技術的ブレークスルーの促進、さらにはこの分野が性能、機能、コスト(価格)面で企業や一般ユーザーにとって魅力ある分野にするためには、以下のような技術的課題を解決することが重要である。
 ■基礎物性の研究
 ■新材料研究開発
 ■新着想による新デバイスの研究開発
 ■低コスト高信頼性新プロセス技術研究開発
 ■信頼性科学の確立

 本戦略プログラムはこれらの技術課題を解決するために、基礎に立ち返って研究開発を行うことを提案するものである。またその推進方法として、技術分野や各研究機関の相互の関係を重視した分野横断的研究開発の推進を提案する。

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