2006年7月
(戦略プロポーザル)免疫系の統合的な制御機能を活用した重要疾患克服のための基礎的研究/CRDS-FY2006-SP-02
エグゼクティブサマリー

免疫系の統合的な制御機能を活用した重要疾患克服のための基礎的研究

免疫疾患の原因、発症には、異常あるいは過剰な免疫応答反応が深く関わり、その制御が世界的課題であるが臨床適用はなお容易ではない。

本プロポーザルは、いずれも我が国の研究者が中心となって先進的に推進し、近年急速に進展した以下の3つの研究成果、すなわち、
1 免疫システムを包括的に抑制的制御する制御性T細胞による免疫寛容機構の解明とその活用、
2 自然免疫系による感染寄生体認識とその感染防御研究の急速な進展に基づく自然免疫と獲得免疫との統合的理解とその活用
3 免疫現象の分子メカニズムの解明とその応用に不可欠なより高次の免疫組織構築や免疫器官形成の総括的理解とその活用
を基礎とし、新規で汎用性の高い医療基盤の確立を目指すものである。

免疫制御は個体の全身反応の結果である。その質と量(程度)は、『免疫反応が営まれる場』(以下、場と表記)に集合した各種免疫担当細胞の細胞増殖や分化・成熟の総体で規定される。従って、分子-細胞レベルでの素過程の解明と平行して、場の理解が伴わなければ有効な臨床適用は成り立たない。本戦略課題は、これらの統合的理解を目指し、相互に深く連携した下記諸課題の克服をまず目標とする。

(1)難治性の自己免疫疾患(関節リウマチ、自己免疫性糖尿病など)や花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー性疾患の病態の発症と維持における免疫応答を人為的に制御することに基づく安定な治療法の開発、予防的免疫制御法の確立と発病率の低減化。
(2)癌免疫誘導の困難さの克服、ならびに担癌状態における免疫応答の低下の解除。ガン治療など高度医療技術の導入に不可避的に付随する諸障壁(放射線傷害や薬剤副作用など)の解明とその克服法の開発。
(3)臓器移植・臓器再生医療などに付随する拒絶反応を自己制御的に克服する新しい免疫制御技術の開発と確立。
(4)インフルエンザ、下痢症など呼吸器、消化器感染症を含む新興・再興感染症、そしてその原理を悪用したバイオテロに対して、第一次防御を司る粘膜組織を標的とし、自然免疫と獲得免疫の統合的理解を基礎においた新世代ワクチン(食べるワクチン、吸うワクチン)開発戦略の確立。

上記の課題の研究は、大学中心の推進と展開が期待されるが、テーマごとに特化した集約的研究を進める理化学研究所をはじめとする各研究機関、病院、そして大学の三者がそれぞれの特性を補完しつつ後継者を育成するネットワークを伴って設計されることで、先端的高度医療発展への先導的な役割が期待できる。

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