2006年7月
(戦略プロポーザル)システムバイオロジーの推進 - 生命システムの動作機構の解明 -/CRDS-FY2006-SP-01
エグゼクティブサマリー

システムバイオロジーとは遺伝子やタンパク質、代謝物、細胞などから構成されるネットワークを生命システムとして捉え、ネットワークの生物的機能がどのように制御され、環境の変動に対して自律的に動作するか等を明らかにし、ダイナミックな生命現象を統合的に理解する研究である。

生命の複雑性は多数の遺伝子やタンパク質が相互に作用しあって機能を発揮している点にあるが、システムバイオロジーを推進することによって、その複雑性の解明に迫ることが可能になりつつある。

本戦略プログラムはシステムバイオロジーにより複雑な生命システムの動作機構を解明し、機構の検証の過程で創出されるツールや技術、ソフトウェアなどを健康、医療、バイオエンジニアリングなどの分野で活用することにより、健康で快適な生活や持続可能な経済発展の実現を目指す。

システムバイオロジーは我が国が先鞭をつけたアプローチで、いまだ萌芽期にあるといえるが最近になって欧米諸国で急速に研究が活発化している。我が国には、いくつかの国際的に評価の高い個別研究が進められており、計算科学やデータベース等の分野において技術的優位性が高い。そこで、具体的研究課題として以下の提案を行う。

1 生命システムの動作機構を明らかにするためのモデルの創出
2 生命システムの動態解析のためのツール、技術、ソフトウェアの開発
3 疾患の予防、診断、治療技術、薬剤、ワクチンの開発や生物生産、機能性食品の研究開発

システムバイオロジーの推進のためには従来のライフサイエンスの研究手法に加えて、理論生物学、計算科学、数学、物理学などの知識、定量的な計測・測定技術、イメージング、微細加工技術、シミュレーションなどの新しいツールや技術が積極的に導入される必要がある。特に、システム制御とその理論、定量的な計測・制御技術、シミュレーションなどはライフサイエンス以外の分野で進んでいる。このような新しい知識や技術を積極的に取り入れる分野融合研究は日本の得意とするところであり、その成果として得られるツールや技術、ソフトウェアは医療やライフサイエンスエンジニアリングの科学技術イノベーションにつながることが期待される。

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