2006年3月
(戦略プロポーザル)超低消費電力化(ULP)技術/CRDS-FY2005-SP-02
エグゼクティブサマリー

社会の情報化が進展するに伴い、ますます高性能かつ多数の情報機器がネットワークで結ばれ、社会の至るところで利用されるようになっている。従来からシステム、機器、あるいはデバイスの高性能化はとどまることなく追求されてきたが、それに伴い消費電力がもはや無視できないレベルまで増加し、消費電力の面からの制約が大きくクローズアップされてきた。このような状況を考えると、情報通信分野においてとくに戦略的かつ総合的に推進するべき重要研究テーマのひとつは「超低消費電力化」である。これは自然環境の保護、経済の活性化、産業技術力の強化、安心・安全な生活環境の実現など、多くの面で極めて重要な研究であると考えられる。
しかしながらこの分野はデバイスの低消費電力化については精力的な研究が行われているが、システム/ソフトウェアなど上位階層まで含めた研究は必ずしも十分に行われているとは言い難い。このような観点から、本戦略プロジェクトでは「超低消費電力化」にむけた階層横断的な研究開発を提案する。その骨子は以下の通りである。

1.システム/ソフトウェア、アーキテクチャ/VLSI(Very-Large-Scale Integrated circuit)設計、回路/デバイスまでの各階層を統合して「超低消費電力化」技術の研究開発を推進する。
2.研究課題は、10年後のネットワーク社会を見通して要求される情報システムのサービス品質(パフォーマンスとディペンダビリティ)を必要最小限の消費電力で提供するためのシステム技術、あるいは与えられた環境で使用可能なエネルギー量で要求されるサービスを提供するために、その品質レベルを適応的に管理する制御技術など、多岐にわたる。
3.画期的な低消費電力化を目標にする。たとえば、システム/ソフトウェア、アーキテクチャ/VLSI設計、回路/デバイスの3階層でそれぞれ1/10、あわせて1/1,000をターゲットとし、約5年間のプロジェクトを実施する。
4.研究開発は指導力のあるリーダのもとに各分野の研究者が結集し、時間軸を意識しつつ推進するプロジェクト形式が適している。
5.低消費電力化技術は消費電力の領域(ワット以上の領域(HPC: High Performance Computer、MPU: Micro Processor Unit)、ミリワット領域(携帯、デジタル機器)、マイクロワット以下の領域(センサーネット/医用)によっても異なる。米国と比較して日本の強みがあるミリワット領域の研究をまず重点的に推進し、その成果をワット以上の領域、マイクロワット以下の領域に展開するアプローチが有効と思われる。

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