- 情報・システム
ヒューマンインタフェース/インタラクション
エグゼクティブサマリー
本報告書は、2026年5月8日に開催した俯瞰ワークショップ「ヒューマンインタフェース/インタラクション」の内容をまとめたものである。
ヒューマンインタフェース/インタラクション(HI)分野における旧来の主要テーマは人間とコンピュータ間等の特定領域での利便性や操作性が中心であった。しかし、昨今のIT技術の進展と普及によってあらゆるものがデジタル化・コネクテッド化され、人間との接点を備えるようになっている。従って、HI分野の課題はAI、ロボティクス、セキュリティ・トラスト、コンピューティングアーキテクチャー、通信・ネットワークなどを要素としたシステム・情報科学技術分野の重要な共通課題といえる。
科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)の研究開発の俯瞰報告書(俯瞰報告書)「システム・情報科学技術分野」でも、HIに関わる研究テーマは上記の様々な区分(サブ分野)における研究開発領域の中で取り上げてきたが、HI分野の研究開発の全体像が捉えにくくなっていた。従って、現状の俯瞰報告書では各分野に分散しているHI研究を束ねて、一つの共通基盤的な区分として俯瞰を行ったうえで、HI研究としての全体戦略を検討する必要がある。このような背景から、現状のHI研究の全体像や課題を把握する俯瞰を行うことを目的とした調査活動を2025年度より開始した。
上記活動において、JSTのCREST・さきがけ、あるいはムーンショット型研究開発事業に携わっている代表研究者や、関連学会の役員等の有識者に対してインタビューを行った。得られた聴取結果とCRDSによる論文・学会発表等の調査結果に基づいて、当該分野における研究トピックスや潮流を以下のようにまとめた。すなわち、本分野の研究は「対象理解・モデル化」「デザイン方法論」「インタフェース/インタラクション技術」の3タイプに大別されるとし、さらに合計で7つの研究開発領域案を抽出した。領域名は、人間理解とモデル化、人-AI協働モデル(対象理解・モデル化)、人間中心設計、社会インタラクション、人・AI共生インタラクション(デザイン方法論)、マルチモーダル/クロスモーダル、人間拡張/XR(インタフェース/インタラクション技術)である。
本ワークショップは、上記7つの研究開発領域毎の最新動向、およびHI技術の最先端トピックスに関して専門家から話題提供を頂いた上で、本分野に幅広く見識を持つ有識者3名をディスカッサントとして迎え、本分野を俯瞰する上で重要な以下3つのポイントを議題として総合討論を行う構成にて開催した。
- 研究開発領域設定の妥当性と創出価値(研究目的)
- 各研究開発領域の俯瞰的な研究動向、注目トピック・方向性
- 日本の立ち位置(強み具体化)とその根源
話題提供パートにおいては、各研究開発領域における最新の研究および技術開発の動向とトップカンファレンスにおけるトピックス、あるいは各専門家が自ら取り組んでいる関連研究の成果紹介がなされ、ディスカッサントを交えた活発な意見交換がなされた。意見交換を通じて得られた示唆として、上記3つの研究タイプは分類上の違和感はないが、実際の研究活動では境界なくつながっており、結果としてCRDSが設定した7つの研究開発領域間でテーマの重複が随所に見られた。
総合討論における議論でも、①の領域設定は過度に細分化されているとの意見が多く、また分野名についてシンプルに「インタラクション」が良いとの意見が複数名から上がった。②の研究動向、注目トピック・方向性の議論では、時間軸の長期化と実世界展開、マルチモーダルの本質と拡張、サイエンスとしての定立などの重要性が述べられた。また③の日本の強みに関しては、親和性とコンテンツの優位性があげられた一方で、「強み」論への警鐘意見があり、海外の成長への危機感に基づく戦略の必要性も指摘された。
上記の意見や議論を受け、CRDSは領域設定の細分化を改め、軸の捉え方についても本ワークショップで示された見解も参考に継続検討しながら俯瞰活動を推進する方針を確認した。
※本報告書の参考文献としてインターネット上の情報が掲載されている場合、当該情報はURLに併記された日付または本報告書の発行年月の1ヶ月前に入手しているものです。