産学連携学会第24回大会 CRDS主催オーガナイズドセッション
「セレンディピティを誘発する産学連携モデルの設計 ― イノベーションエコシステムのさらなる進化に向けて ―」

エグゼクティブサマリー

CRDSでは、2025年3月に発行した調査報告書『科学技術・イノベーションエコシステムにおける産学橋渡しの課題―知的財産・デザイン・共創の観点から―』および、2026年3月に発行した調査報告書『産学連携の構造的課題とその解決に向けた方向性』を題材として、産学連携学会第24回大会において、CRDS主催のオーガナイズドセッション(OS)を開催した。

本OSでは、産学連携に関する先進的な取り組みを進める大学、国立研究開発法人、企業の専門家6名を招き、今後の産学連携のあり方と課題について議論した。前半では各登壇者による講演を行い、後半では講演内容を踏まえたパネルディスカッションを実施した。多様なステークホルダーが参画する産学共創の場のあり方を参加者とともに考え、わが国における今後の発展的な産学連携の姿を模索することを目的としたものである。

講演では、はじめにCRDSから、これまでの調査結果に基づき、産学連携におけるセレンディピティの誘発に資すると考えられる論点を提示した。続いて、北陸先端科学技術大学院大学の中田泰子氏から、人々の創造性を引き出し、新たな意味や価値の創発を促す「共創の場」のフレームワークについて、東京大学の長谷川大輔氏から、産学の地理的な近接によって日常的な接点や偶発的な出会いを生み出す「イノベーション地区」の都市設計に求められる要素について、それぞれ話題提供があった。また、株式会社AIST Solutionsの宮下東久氏からは、シーズとニーズのマッチングにAIを活用し、「予期せぬ出会い」を生み出す取り組みが紹介された。

続くパネルディスカッションでは、産業技術総合研究所の西野涼子氏からデザインの観点で、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社の前田晋吾氏および茅明子氏からプロセスデザインの観点で、それぞれ論点が提示された。これらをもとに、偶発的な出会いや新たな価値の創発を促す環境や仕組み、組織間の関係構築のあり方について議論を深めた。

本報告書が、イノベーションエコシステムのさらなる進化に向けて、「科学とビジネスの近接化」が進む時代における産学連携の新たな方向性と課題を考えるとともに、今後の政策的な検討を進める上での一助となれば幸いである。

※本報告書の参考文献としてインターネット上の情報が掲載されている場合、当該情報はURLに併記された日付または本報告書の発行年月の1ヶ月前に入手しているものです。