中国「第15次五カ年計画」(2026~2030年)における科学技術・イノベーション関連政策の概要
エグゼクティブサマリー
中国では、2026年3月5日~12日に開催された全国人民代表大会(全人代)にて、中国政府が進める今後5年間(2026~2030年)の経済・社会の運営方針である「国民経済・社会発展第15次五カ年年計画」(以下、「第15次五カ年計画」)が審議され、承認された。
中国は、中国共産党創立100年(2021年)までに、ややゆとりのある社会を実現することを第一の百年の目標とした。これに続く第二の百年の目標として、中華人民共和国建国100年(2049年)に向け、中国式社会主義現代化を実現し、中華民族の偉大な復興を目指すとしている。その意味で、「第15次五カ年計画」は、「第14次五カ年計画」(2021~2025年)から引き継いで第二の百年の目標に向けた重要な時期の経済・社会発展計画となっている。
本報告書は、18篇62章で構成された「第15次五カ年計画」における中国の科学技術・イノベーション政策の概要を以下のとおりまとめたものである。
・中国式社会主義現代化実現のための基盤構築
「第15次五カ年計画」期は、承前啓後(過去を引き継ぎ、未来を拓く)の重要な時期で、中国式社会主義現代化実現に向けた基盤の構築を目指す。目標として、より質の高い発展によって、2035年までに中国のGDPが中進国の水準に到達するための基盤を築く。科学技術に関しては、研究開発費総額を年平均 7%以上増やし、教育と科学技術が一体化した人材育成などにより科学技術の自立自強の水準を向上させる。
・近代的産業システムの構築
スマート化、グリーン化、融合化により、「製造強国」、「品質強国」、「航空宇宙強国」、「交通強国」、「サイバー強国」の建設を加速し、先進的製造業を中核とする近代的産業システムを構築する。
・高度な科学技術の自立自強
「教育強国」、「科学技術強国」、「人材強国」の建設推進で自主的イノベーション力を強化して国際的優位性を確保し、科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合により、「新質生産力」を発展させる。
・デジタル中国の建設
データ要素の活性化とデジタル・スマート技術のイノベーション加速により、 「AI+」行動計画を進め、経済社会の発展とガバナンス能力の向上および生産性の革命的な飛躍を促進する。
・国家安全保障体制と能力の近代化でより平安な中国の建設
・人民解放軍創立100周年(2027年)に向けた国防と軍隊の近代化推進
なお、「第14次五カ年計画」期では、環境、エネルギー、農業、デジタル、知財など関係の省庁が科学技術・イノベーションを含めた関連の五カ年計画をその後発表している。「第15次五カ年計画」期においても、具体的な政策が今後随時発表されるものと考える。
※本報告書の参考文献としてインターネット上の情報が掲載されている場合、当該情報は2026年3月時点のものです。