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日本語仮訳:科学技術政策へのシチズンサイエンスの組み込み 経済協力開発機構(OECD)科学技術産業ポリシーペーパー(175号)

エグゼクティブサマリー

「シチズンサイエンス ―科学的知識の生産における市民の能動的関与―」は、幅広い科学分野に適用可能な研究の形態であり、多様な政策課題への対応にも有効である。

シチズンサイエンスが、今改めて必要とされている理由は大きく二つある。第一に、科学技術の急速な進展と普及に伴い、ネットワークを介したクラウドソーシングが一般化し、市民によるDIY型の科学実験も発展するなど、科学研究に大きな変容が生じている点である。これにより、知的財産や個人情報の保護、データの帰属、研究の質の保証など、さまざまな課題が顕在化している。第二に、科学的知識の民主化、オープンサイエンス、社会課題解決のための協働・共創の要請などを背景に、科学研究のあり方そのものが多様化している点である。これらに対処する手法の一つとして、シチズンサイエンスの価値や有効性が再認識されている。

2023年、経済開発協力機構(OECD)グローバルサイエンスフォーラム(GSF)は、「シチズンサイエンス:科学的知識の生産における市民関与の促進政策」(Citizen science:policies to promote citizen engagement in the production of scientific knowledge)と題する新たなプロジェクトを立ち上げた。本プロジェクトは、オープンサイエンス、市民の関与、トランスディシプリナリー研究などを含む、科学および科学政策における社会的関与に関するGSFのこれまでの活動に基づく。

本報告書は、主として省庁および資金配分機関の科学技術政策担当者を対象として、シチズンサイエンスの活用可能性を理解し、効果的な政策の立案・実装・評価を行う際の参考となるよう作成されたものである。「なぜ」「いつ」「どのように」シチズンサイエンスを推進すべきか、という問いに対する、政策フレームワークおよび政策オプションと連動する包括的な提言に加え、国内外の代表的な取り組み事例の分析を含んでいる。

日本におけるシチズンサイエンスの取り組みは、「市民科学」や「市民参加型研究」として知られ、政策主導ではなく、科学者・研究者および市民の自発的かつ自律的なボトムアップのイニシアチブとして発展してきた歴史と経緯がある。国内の取り組みは多様化しつつあるが、主としてプロジェクトレベルで、研究者の熱意と市民のボランティアの共感によって推進されている。日本においても、本ポリシーレポートが提案するように、科学研究の新たなあり方の一つとして、従来型の科学研究とシチズンサイエンスの接続と融合を促進することが望まれる。本報告書が今後の議論と検討の一助となることを期待する。

※本報告書は、OECDのGSFにおけるプロジェクト「シチズンサイエンス:科学的知識の生産における市民関与の促進政策」(2023-2024)の成果を取りまとめたポリシーペーパー “EMBEDDING CITIZEN SCIENCE INTO RESEARCH POLICY” について、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が、OECDの許諾を受けて翻訳し公表するものである。本報告書の原著は、オンラインにて公開されている(https://doi.org/10.1787/a1cfb1a8-en(外部リンク))。

※本報告書の参考文献としてインターネット上の情報が掲載されている場合、当該情報はURLに併記された日付または本報告書の発行年月の1ヶ月前に入手しているものです。