日本語仮訳:先端材料の未来を導く:戦略的インテリジェンスの実践 経済協力開発機構(OECD)科学技術産業ポリシーペーパー(185号)
エグゼクティブサマリー
本報告書は、経済協力開発機構(OECD)のバイオテクノロジー・ナノテクノロジー・コンバージングテクノロジー作業部会(BNCT)のプロジェクト「Steering the future of advanced materials: Strategic intelligence in action」の成果を取りまとめた提言書である。
先端材料は、常に重要な新興技術の一つに挙げられ、医療、防衛、化学製造など幅広い分野に応用されている。ゆえに、多くの分野でイノベーションを促進し、経済成長を牽引し、そして社会が直面する地球規模の課題を解決するために不可欠となっている。
各国政府は、先端材料の戦略上の役割や将来的な可能性を認識し、先端材料に特化した国家戦略の策定を通じて、その開発と実装を促進する政策的手段への投資を強化している。戦略は、国家の先端材料エコシステムの未来に望ましいビジョンを提示し、戦略的目標の達成に向けて関係者の結束を促す。
こうした国家戦略の策定においては、さまざまな予見的プロセスが活用されている。本報告書では世界各地からケーススタディを集め、次の3つの項目について分析した。
1つ目は予見的協調であり、戦略的インテリジェンスを創出するプロセスに焦点を当てる。バリューチェーン全体の多様なステークホルダーを結集し、新たな機能的イノベーション・エコシステムへの道筋を調整する手段として、ロードマッピング、参加型フォーサイト、共同的なアジェンダ構築などが含まれる。
2つ目の焦点は上流段階におけるガバナンスと「バイ・デザイン(“by-design”)」のアプローチである。情報ギャップや懸念事項、規制ニーズを早期に特定し、研究、ガイドライン、試験制度、法的措置の基盤を築くことで、潜在的な負の影響の軽減または回避を目指すものである。
3つ目は戦略的インテリジェンスの活用に関するものである。これは、技術開発の方向性や経済的利害、倫理的・社会的側面、潜在的影響に関する分析と知識を指す。本報告書では、さまざまな戦略的インテリジェンスのツールや手法の活用をケーススタディを通じて検証し、その役割、使用の方法やタイミング、組み合わせへの理解を深めている。
本報告書は、こうした知見の提供を通じて、先端材料のような新興技術の国家戦略を策定または更新しようとする政策立案者および技術評価実務者を支援し、イノベーションの加速や各国におけるエコシステムの発展、社会実装を促進するものである。
※本報告書は、OECDのBNCTによる成果を取りまとめた報告書 “STEERING THE FUTURE OF ADVANCED MATERIALS: STRATEGIC INTELLIGENCE IN ACTION”について、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)がOECDの許諾を受けて翻訳し、公表するものである。
※本報告書の参考文献としてインターネット上の情報が掲載されている場合、当該情報はURLに併記された日付または本報告書の発行年月の1ヶ月前に入手しているものです。