ミッション志向型科学技術・イノベーション政策の立案と実行のさらなる展開

エグゼクティブサマリー

本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が、2025年3月18日に開催した科学技術未来戦略ワークショップ「ミッション志向型科学技術・イノベーション政策の立案と実行のさらなる展開」の内容をまとめたものである。

ミッション志向型科学技術・イノベーション(Science, Technology and Innovation:STI)政策は、カーボンニュートラルの達成や持続可能な社会の実現など、複雑かつ広範な社会課題(グランドチャレンジ)に対するSTI政策の新たなアプローチである。それは、社会システム変革を伴う長期戦略の実現に向けて、達成期限を定めた明確な目標(ミッション)を設定し、研究開発に加えて各省庁の多様な政策手段を総動員することにより、研究開発成果の活用と社会システムの変革を同時に推進するものである。

我が国における戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期など、現在各国ではミッション志向型STI政策を進めているが、実装を進める中で実効性の確保や、地域レベルでの具体的な取り組みの推進の必要性、重要技術の研究開発との連携強化などの課題が指摘されている。

本ワークショップでは、ミッション志向型STI政策の具体的な取り組みや認識されている問題点などを踏まえつつ、日本におけるミッション志向型STI政策の取り組みを推進する上での課題や方策について議論を行った。

話題提供セッションでは、気候変動緩和や気候変動適応、地震・防災などの我が国の社会システム変革を伴う長期戦略の対象領域(ミッションエリア)において、関連する研究や連携活動に携わっている有識者や、ミッション志向型の研究開発プログラムを担当するディレクターや実務者から、それぞれの取り組みの紹介と、課題や改善の方向性について話題提供をいただいた。

続く総合討論セッションでは、横断的視点からコメントをいただいた。社会受容性を高め、国民一人ひとりの行動変容に結びつける視点を技術ロードマップに取り込むことの重要性や、法規制や調達等の制度設計とセットで施策や事業の連携を進める必要性などについて指摘があった。その後、参加者による討論が行われ、従来の政策分野や学問分野を越えた横断的連携の必要性、国や地域といった各層間の連携と調整の必要性、専門的知識や分析等に基づく支援、地域の特性を踏まえた具体的取り組みの必要性、住民や関係者への情報発信を行動変容につなげることなど、ミッションエリア間でも共通する課題が抽出された。

本ワークショップにおける議論を踏まえ、CRDSでは今後国として重点的に推進すべき具体的な研究開発課題および研究開発の推進方法を検討し、戦略プロポーザルとする予定である。

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