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国際的な研究人材流動の関連政策を巡る主要国・地域の動向

エグゼクティブサマリー

本調査報告書は、国際的な研究人材流動に関する主要国の政策・施策の2025年の動向について、科学技術・イノベーション(Science, Technology and Innovation:STI)政策の観点から整理し、今後の政策検討の基盤となる情報の提供を目的とする。2025年7月に公開した調査資料「研究人材流動の関連政策を巡る主要国の動向 -2025年上半期-」 を基に、2025年内の更新情報を加え、調査報告書としてまとめたものである。

2025年は、米国のSTI政策の方針転換を背景に、各国の国際的な研究人材流動に関する政策に変化が見られた。自国の研究環境の優位性確保や重要・戦略技術分野への注力の中で、卓越した人材を獲得する従来政策を「強化・加速」する方向で動きがあったと言える。日本を除く主要国・地域の2025年政策動向は以下の通りである。

  • 米国:2025年1月、新政権が発足。研究開発予算などSTI関連政策を大幅に見直し、「ゴールド・スタンダード・サイエンス」による科学研究に関する新たな方針を打ち出した。これらにより、「米国からの頭脳流出」や「科学の自律性への懸念」に関する国際的な議論が生じた。なお連邦議会の2026年予算法案検討過程では、変動幅の縮小傾向が見られるなど状況は流動的。
  • 欧州連合(EU):2025年5月、若手からシニアまで幅広い層の研究人材の誘致・定着を目的とした包括的支援パッケージ「Choose Europe for Science」(2025~2027年、5億ユーロ)を発表。EUへの移動を円滑化するビザ戦略の策定や、「科学研究の自由」を明文化するERA法案の検討も進行。
  • フランス:2025年4月、海外研究者招聘プラットフォーム「Choose France for Science」の立ち上げを公表。戦略的投融資計画「フランス2030」の下で1億ユーロ規模の投資を予定し、大学等による海外トップ層の研究者やエンジニアの招聘プロジェクトを支援。
  • ドイツ:2025年6月、卓越研究者の誘致・定着と研究拠点の強化を図る「1,000 Heads Plusプログラム」を発表。「ハイテク・アジェンダ」と連動し、2029年までに予算6億ユーロを計画。研究の自由と安全の保障を明言している点も特徴的。
  • 英国:2025年6月、新産業戦略を発表。世界トップ層研究者の誘致・定着のため「グローバル人材タスクフォース」を設置、総額5,400万ポンドの「グローバル人材基金」を創設。移民管理の厳格化と並行し、ビザ制度の拡大・優遇措置の強化などを実施。
  • 中国:2008年の「海外ハイレベル人材誘致計画(千人計画)」以降、「招聘・帰還支援」の方針を継続。2025年8月、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の著名大学出身の若手研究人材対象とした在留資格「Kビザ」を新設。

日本が、第7期科学技術・イノベーション基本計画において「科学の再興」を目指す上で「研究人材」は重要な政策課題である。今後さらに調査を行うためには、日本のこれまでの政策評価とそこから導出される課題を踏まえつつ、調査・分析の解像度を上げる視点を絞ることが必要であろう。例えば、① 個人・チームや機関など「対象別」や「支援スキーム別」の具体的な制度設計と運用状況、② 政策導入後の実施機関などにおける「継続性」の工夫や「モニタリング・評価」の実施方法、③ 支援や定着のための環境整備やビザ制度など「STI政策以外の政策」との連動性、などが想定され得る。

※本報告書の参考文献としてインターネット上の情報が掲載されている場合、当該情報はURLに併記された日付または本報告書の発行年月の1ヶ月前に入手しているものです。