岡山県立玉島高等学校

  

 

玉島高校による普通科課題研究の効果的な進め方 

    ~玉島サイエンスサポーターと挑む探究活動の取組~ 

         紹介者名:岡山県立玉島高等学校 校長 甲本龍平

 

 

   1.学校の概要 

 

玉島高校は岡山県西南部に位置し、普通科と理数科を有する創立117年の進学校です。校訓「自律・英知・実行」のもと、授業を第一にきめ細やかな教科指導を展開し、教育活動のすべてを「TAMA STAGE」と名付けて「一人ひとりが主役となれる学校」を目指しています。生徒は真面目で素直。前向きに学校生活に取り組んでいます。部活動でも剣道、ラグビー、放送部など複数が全国大会に進出するなど文武両道を実践しています。現在、SSH第Ⅲ期の5年次で、学校設定科目として理数科「テクノサイエンス」、普通科「TACT(Tamashima Action Challenge Thinking)」を開設し、全校生徒が課題研究に取り組む体制づくりを中心に研究しています。 

 

   2.取組の概要・ポイント

        

 第Ⅲ期目の研究開発課題に併せて地域等と共創し、全教員で取り組む課題研究のあり方を研究してきました。特に普通科「TACT」では、理数科のノウハウを生かし、「総合的な探究の時間」で行う探究活動の実践モデルを目標に取り組んでいます。「TACT」を普通科に設定した理由は、理数科で取り組んできた探究活動や探究的視点が、生徒たちの生きた、そして主体的な学びにつながっていると強く感じ、探究活動の大切さを再認識したためです。教科間、学年間、分掌間の連携に加えて、運営指導委員にも各取組の担当をお願いし、地域に学ぶフィールドワーク では、大学・企業等に協力を仰いで「玉島サイエンスサポーター(以下、玉島SS)」の仕組みづくりにも取り組みました。地域との関わりを通して、生徒には自主的に学ぼうとする姿が数多く見られました。また、成果を関わった方々と共有する場、他の普通科高校への普及の場として「探究活動プレゼンテーションアワード(以下、探究PA)」を立ち上げました。 

 

 

 「TACT」で生徒にテーマ設定の指導を行う甲本校長先生(左端)

 

   3.工夫のポイント

 

校内分掌に「TACT」担当10名を位置付け、週時程内に会議時間を設定して次時の内容を共有する体制を整えました。ここに運営指導委員2名を配置し、メールや遠隔で助言をお願いし、集まったアイデアをもとに1年生の中心課題を決定して流れを決めていきます。フィールドワークは「インプット・まとめ・アウトプット」を繰り返すユニット学習として、地域課題を生徒視点で掘り下げることで発見力養成にあて、この発見力を課題研究のテーマ設定につなげます。これらの流れが地域を巻き込んだ「玉島SS」の拡充につながりました。 「探究PA」では、 普通科と総合学科に限定して他校の参加を募り、多角的に発表を評価し、複数の賞を設けることで、参加者の目的意識の高揚にもつながりました。  

 

 

 4.取組を通じた生徒の姿など取組の成果

 

 「TACT」は、生徒が1年の時から系統的な活動を通して課題研究の意義を段階的に体験しながら体得できるカリキュラムにしています。特に「玉島SS」を活用することで、生徒が地域の方から直接話を聞くことができ、主体的に取り組む姿勢が芽生えました。 「探究PA」は他校生徒からの意見や専門家のアドバイスが有益であったと感想を述べる生徒が多く、また積極的に取り組んだ生徒ほど進路目標も明確になりました。何より地元地域に向ける眼差しが強くなり、自分ができることを模索する生徒も増えました。教員も生徒の積極的な姿を目の当たりにし、取組が生徒の成長に良好に働くことを強く感じており、学校全体の活力にもつながりました。

 

 

  「探究PA」で発表する生徒