科学教育への提言
子どもたちが、もっと科学を好きになるために
品川区立小中一貫校 日野学園 山口晃弘副校長
小中学生を対象にした科学オリンピック・フェアでジュニア科学オリンピック * の実験問題を紹介してくださった山口晃弘先生に、子どもたちがもっと科学を好きになるためにどんな教育が必要か語っていただきました。
今、子どもたちの理科離れが危惧されていますが、学校の教育現場や科学イベントを見る限り、理科が好きな小中学生はたくさんいます。これからの課題は、そのような子どもたちの好奇心を広げ、探究心を深める機会を増やしていくことです。そのために、学校の授業で自然や科学と関わる場面を設けて、自然の性質やはたらき、規則性などを生活者視点で見直させたり、授業以外でも博物館や科学館などに行かせるのもいいでしょう。また、スポーツが得意な子どもたちが全国大会を目指すように、科学が得意な子どもたちが科学オリンピックを目指すような環境づくりもいいと思います。学校の中でも外でも、もっと子どもたちが自然や科学に触れる機会を増やし、夢中になって取り組んでもらえるようにしたいですね。
※ジュニア科学オリンピックは中学生以下を対象にした世界の科学コンテストです。日本は参加していません。
世界標準の科学に触れて
挑戦しないことは、もったいない
東京大学理科一類 1年生 村下湧音さん
国際物理オリンピックに日本代表として3年連続で出場し、 金メダルを2度受賞した村下湧音さん。 物理が好きになったきっかけや、 物理オリンピックにチャレンジする意義についてお話ししていただきました。
僕は3年続けて物理オリンピックに出場したのですが、特に物理が好きでも得意だったわけでもなく、応募したきっかけというのも母親の勧めでした。 ところが物理オリンピック国内予選の物理チャレンジの問題が、試験とは思えないほど面白く奥深くて、気づいたら5時間もの試験時間中、自分でも驚くほど集中して楽しんでいたんです。 この日を境に、 物理に興味を持つようになりました。
それだけでなく、物理オリンピックでのさまざまな経験や出会いによって、自分の可能性を大きく広げることができ、好きなことについて真剣に話せる仲間もできました。だから、もし受けようか悩んでいる人がいたら、絶対に受けてほしいと思います。挑戦しないことは、もったいないですから。