COFをホストとした蓄熱材
~COF単結晶の製造方法~
村上 陽一(東京科学大学)
発明のポイント
COF(Covalent Organic Framework:共有結合性有機骨格):
- 1. 共有結合のみで構成され、化学的にも熱的にも安定。
- 2. 二種類の多官能化合物の重縮合により生成する規則的構造を有し、分子内に均一寸法の細孔を有する。
- 3. 2018年に、多官能アルデヒドを平衡調整剤(一官能アミン)と縮合反応させ、多官能アミンとイミン交換させる反応を繰り返す平衡調整剤法が開発され、X線回折測定の可能な長軸100μmの単結晶が得られるようになった。
本発明:
- 1. 長軸200μmのCOF単結晶を短時間で製造可能な新たな製法
- 2. COF単結晶の細孔内に蓄熱材料を包含させた新たな蓄熱材料

発明の概要
製法発明:
- ・COF成長溶液に核生成制御剤としてイオン液体を添加することで、前例の無い大サイズ(≥ 200μm)のCOF単結晶を成長。

X. Wang, R. Enomoto, and Y. Murakami, "Ionic Additive Strategy to Control Nucleation and Generate Larger Single Crystals of 3D Covalent Organic Frameworks," Chemical Communications, vol. 57, pp. 6656–6659, 2021.
蓄熱材料発明:
- COF単結晶の中に糖アルコール(マンニトール等)を含侵させ、擬固体で過冷却フリーの新蓄熱材を創出した。


Y. Murakami, S. Mitsui, S. Nakagawa, X. Wang, H. Fujisawa, M. Ryu, and J. Morikawa, "Composite formation of covalent organic framework crystals and sugar alcohols for exploring a new class of heat-storage materials," Materials Horizons, vol. 10, pp. 4922–4929, 2023.
従来技術との比較・優位性
| 従来技術 | 本発明 | |
|---|---|---|
| 熱伝導率 | COF300粉体 0.038~0.048W/mK | COF単結晶 0.116W/mK |
| 単結晶サイズ | 100μm以下 | 120μm以上 |
| 結晶の生成期間 | 約40日 | 7日 |
| 従来の網目構造との比較 | MOF 金属の配位結合で形成 | 共有結合で形成され化学的に安定 高温・酸・塩基環境に対する優れた耐久性 |
| 高機能の蓄熱材料の実現可能性 | トップダウンの設計により限られた熱制御しかできなかった | 分子レベルでの熱制御材料の設計(ボトムアップ)を可能とし、これまでにできなかった熱マネジメントが実現可能 |

想定される用途
- ◎ 半導体デバイスや自動車などにおける廃熱利用、熱マネジメントの効率向上
- ◎ 反応熱や潜熱を利用した蓄熱、放熱システムへの適用
- ◎ 固体CO2吸収材や固体電解質(固体電池材)の開発
ライセンス可能な特許
発明の名称:COFを含む複合材料、放蓄熱部材及び該複合材料の製造方法並びにCOF単結晶及びその製造方法
国際公開番号:WO2021/153689
登録番号:特許第7751162号(488KB)、米国12492331(1.97MB)