熊本県

●平成13年度〜平成17年度
●連携拠点機関
(財)くまもとテクノ財団

代表 草野 民三

坂井 高正

坂田 敦子
活動方針 熊本県が設定した重点技術領域である新製造技術・情報通信・環境・バイオテクノロジー・医療福祉の5分野を中心に、大学等の研究成果の中で、先端的科学技術をいち早く掘り起こして育成し、実用化につなげるためのコーディネート活動を積極的に展開します。
育成試験の成果

誤嚥防止システムの開発
研究シーズ/ 村山 伸樹(熊本大学)
実施機関/ 熊本大学
高齢化社会において脳障害の患者が急増し、誤嚥性肺炎を起こして死亡する例が問題化してきています。その対策として、咽喉頭にセンサを最適部位に配置して「飲み込み運動」を行った際の筋電図を解析し、正常な嚥下と誤嚥による筋電図パターンの違いをニュートラルネットワークを用いて識別させる基本方式を開発しました。

輻射平衡炉の熱・流体的研究
研究シーズ/ 古嶋 薫(国立八代高等専門学校)
実施機関/ 国立八代高等専門学校
半透明金反射ミラーを利用したゴールドファーネス炉が、断熱材を用いた従来炉にない優れた熱特性を示すため、新素材等の研究開発等で盛んに利用されています。本研究では、この炉が優れた特性を示すメカニズムや構造等を熱・流体的な角度から検討し、特性を最大限に引き出す設計方法を見出すとともに半導体等の実プロセスへの展開の可能性等について検討しました。その結果理論的な基本設計法が確立でき、写真に見られる実機を試作し、商品化に成功しました。更に半導体プロセス(8インチ仕様)使用可能な試験機の試作にも成功し、所期の特性を確認しました。
輻射平衡炉構造
輻射平衡炉の構造
輻射平衡炉の構造
パルスパワーを用いた 微生物破壊メカニズムの探求
研究シーズ/ 勝木 淳(熊本大学)
実施機関/ 熊本大学
水中にパルスパワーを加えて生じるストリーマ放電により、らん藻プランクトンを即効的に殺傷できることを確認し、閉鎖湖沼の浄化システムへの応用可能性について見通しを得ました。
温熱と微弱電流の同時印加による各種疾患予防・治療効果の検証
研究シーズ/ 甲斐 広文(熊本大学)
実施機関/ 熊本大学

導電性を有する特殊なゴム素材を用いて、微弱電流と温熱を患部に同時に印加できる装置を試作し、効果の確認を行いました。その結果、電流と温熱の相乗効果で、熱ショックタンパク質の誘導増加が見られるとともに、腫瘍細胞特異的にユビキチン化されたタンパク質増加によるプロテアソーム阻害効果を有し、胃潰瘍モデル及び糖尿病モデルに対して有効なことが確認されました。本研究で開発した試作装置は、安価で製造可能であり、使用方法も簡便であるため、人に応用できれば自宅で使用可能な予防・治療器としてQOLの改善に寄与することが期待されます。  

施策装置外観 胃潰瘍モデルに対する効果
施策装置外観
微弱電流。温熱印加用特殊ゴムパッドを装着したマウス
微弱電流。温熱印加用特殊ゴムパッドを装着したマウス 胃潰瘍モデルに対する効果
生体電気信号導入装置の開発およびその再生・移植医療への応用
研究シーズ/ 徳冨 直史(崇城大学)、小川 峰太郎(熊本大学)
実施機関/ 崇城大学、熊本大学
簡易の生体電気信号導入装置を作製し、培養組織・細胞の機能向上や生育促進が可能な電気環境を提供して高品質の再生・移植材料の作製に成功しました。また疾患特異的な電気信号の付加も可能であり、作製した脱髄性神経疾患やてんかん、不整脈などの疾患モデルは医薬品の効率的なスクリーニングに有用です。
構造性発色の研究とその応用
研究シーズ/ 松田 豊稔(熊本電波工業高等専門学校)
実施機関/ 熊本電波工業高等専門学校
各種蝶の鱗粉の色と電子顕微鏡による構造解析の結果、鱗粉の色が構造性発光層と色素膜層の組み合わせで決まっていることを確認しました。結果として、バラエティーに富んだ色合いを実現する構造設計が可能であることが判明しました。  
鱗粉にある微周期構造
大豆煮汁、夏みかんからの有用食品の製造
研究シーズ/ 岩原 正宜(崇城大学)、森村 茂(熊本大学)
実施機関/ 崇城大学、熊本大学
従来廃棄していた大豆煮汁、夏みかんから乳酸、アルコール飲料、醸造酢などの有用食品を製造する技術とその機能性の確認を行い、変質の問題もない大豆やみかん由来の生理活性物質を有した新規の機能性食品(健康食品)としての実用化を進めています。
リング状リニアモータの構造最適化の研究
研究シーズ/ 山口 仁、柿木 稔男(崇城大学)
実施機関/ 崇城大学
回転体をその外周にリング状に配した複数の電磁石で外周方向に吸引する方式による大口径中空モータについて、振動や回転安定性、使用条件の制約等について検証しました。現在、各種洗浄装置等への応用を目指した共同開発が進められています。  
キチナーゼ類縁酵素を用いた 抗菌力の高い植物の耐病メカニズムの研究
研究シーズ/ 荒木 朋洋(九州東海大学)
実施機関/ 九州東海大学
植物における害虫や病原微生物等に対する環境適応力を高めるため、植物に自己防御蛋白質(植物キチナーゼ類縁酵素)を導入して、安全で抗菌力の強い植物の研究開発を行いました。植物キチナーゼやニワトリリゾチームより強い溶菌活性をもつダチョウ卵由来グース型リゾチームの植物導入を目指し、酵母を用いたグースリゾチームの高発現系の構築、高機能活性酵素改変のための酵素触媒部位の決定、並びに耐病性植物の作出に向けてシバを一つの例としてパーティクルガン法による最適遺伝子導入条件を確立しました。
類似した立体構造
植物キチナーゼ        グースリゾチーム
植物キチナーゼ        グースリゾチーム

新規癌特異抗原ペプチドを利用した抗腫瘍免疫療法の開発
研究シーズ/ 中面 哲也、西村 泰治(熊本大学)
実施機関/ 熊本大学
肝細胞癌・メラノーマで特異的に高発現しているglypican-3(GPC3)や、大腸癌・膵臓癌で高発現しているhsp105のHLAタイプ別抗原ペプチドを同定してDNAワクチンやペプチドワクチンを作製し、抗原特異的ヘルパーT細胞や細胞障害性T細胞(CTL)の誘導に成功しました。さらにin vivoにおける強い抗腫瘍活性を実証し、新しい免疫療法を提唱しました。現在、臨床における実証試験を進めています。
pCAGGSベクターのみを免疫したマウス
pCAGGS-HSP105DNAワクチンを免疫したマウス

セルロース微粒子と光触媒を複合した環境浄化能を有する色材
研究シーズ/ 伊原 博隆(熊本大学)、永岡 昭二(熊本県工業技術センター)
実施機関/ 熊本大学
光触媒、酸化チタンはナノ微粒子であるため、ハンドリングが難しいうえに、白色であるため、色材用担体として用いるには、意匠用途が限定されます。我々は三原色光触媒/セルロース複合球状粒子を調製することにより、光触媒の能力を維持し、意匠性、操作性にも優れる環境浄化用色材を実現しました。これは、ハンドリングが簡単で、光触媒能を維持しているだけでなく、表面が無機顔料により完全被覆されたため、セルロースの分解は生じません。無機顔料のシェルを有するカラードセルロース/光触媒複合粒子の開発に成功しました。  
新規エンドトキシン除去ビーズの開発
研究シーズ/ 坂田 眞砂代(熊本大学)
実施機関/ 熊本大学
血液製剤やタンパク質製剤の原材料に含まれるエンドトキシン(LPS)を効率よく吸着除去し、しかも蛋白質回収率が非常に高い新規のエンドトキシン除去ビーズ(ポリε-リジン固定化セルロース粒子)を開発し、製品化しました。
蛋白チップを用いた新規腫瘍診断法の開発
研究シーズ/ 荒木 令江(熊本大学)
実施機関/ 熊本大学
生体由来蛋白チップを用いた独創的なプロテオーム解析法により、多数の癌に特異的な腫瘍を同定・定量化、プロファイリングし、その進行度、薬物治療効果などをモニタできる新規臨床診断法を開発しました。今後、蛋白チップの小型化、データベース化を図り実用化を目指します。  
海藻ノリ中の機能性有効成分の抽出・精製法の開発
研究シーズ/ 木幡 進(八代工業高等専門学校)淺川 牧夫(熊本大学)
実施機関/ 八代工業高等専門学校

海藻ノリから水溶性色素(フィコエリスリン、フィコシアニン)や多糖類等の機能性有効成分を効率よく、しかも大量に分離・精製する技術を確立し、海藻ノリの新たな有効活用法を見出しました。

色落ちノリ ノリ水溶性色素 多糖類
有機金属材料を用いたカーボンナノチューブの成長プロセスの開発
研究シーズ/ 青木 振一(崇城大学)
実施機関/ 崇城大学
本研究では、レーザーアブレーション法と基板上に自己整合で強固に分散固着させた金属触媒微細構造を形成する独自技術を組み合わせ、その金属触媒微細構造上にカーボンナノチューブが効率よく生成する技術を開発しました。プロセス用装置の構造は、下左図に示すとおりですが、加熱ランプからの熱輻射は空気断熱された金コーティングガラス非結像集光ミラー系で、加熱部に集光されます。現在、製品化に向けた開発(民間企業との共同)を実施中です。(写真)  
触媒金属ナノドット カーボンナノチューブ
閉所移動・作業ロボットの遠隔操作における力触覚機能に関する研究
研究シーズ/ 汐月 哲夫(熊本大学)
実施機関/ 熊本大学
実ネットワーク(北九州折り返し約300kmのJGN)環境下で、多様な伝送遅延を模擬し、1自由度のメカニカルシステムを用いて、ロバスト制御理論による力触覚遠隔制御実験を行いました。その結果、ボールを変形させたり、卵を割らずに把持することが可能であることを確認しました。これにより、閉所作業ロボットの作業環境に必要な諸条件を明らかにすれば、双方向の遠隔操作システムが構築可能であるとの見通しを得ました。
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