岩手県
平成8年度〜平成11年度
拠点機関
(財)いわて産業振興センター〔旧(財)岩手県高度技術振興協会〕

科学技術コーディネータ 
丹野 和夫 
活動方針 科学・技術・産業の創出により、宮沢賢治が提唱した理想郷:イーハトーブの実現を目指しました(岩手県の方針)。そのため、既にできている岩手独自の産学官ネットワークを拡充・強化し、研究・開発・実用化にそれぞれ「人」が得られるように、労を厭わずに活動しました。
可能性試験の成果

生活・地域への磁気活用技術
研究シーズ/ 能登 宏七(岩手大学) 他
科学技術庁地域結集型共同研究のFSとして、一連の基礎実験(磁場中の被膜形成(下の写真)、金属類の分別等、SQUID(量子干渉素子)の応用、励磁消磁システムの検討、地熱水の処理等)を実施して研究計画に反映させ、平成11年の事業採択に貢献しました。
高温用超高弾性ばね材
研究シーズ/ 千葉 晶彦(岩手大学)
実施機関/ 東北日発(株)
時計用のばね材として常温で使用されているCo-Ni-Cr合金を基に、少量元素を調整することにより、700℃程度の高温で使用できるばね材を開発しました。東北日発(株)が平成10年度科学技術振興事業団独創的研究成果育成事業により実用化試作を行い、現在製鋼メーカーと製品化開発を実施中です。
「雑穀の食品機能性解明と製品開発」
研究シーズ/ 西澤 直行(岩手大学)
実施機関/ 白石食品工業(株)、(株)ベルセンター
岩手県の特産物である雑穀の蛋白質には、高脂・高コレステロール血症を速やかに改善する機能があることを明らかにするとともに、地元企業との連携でモロコシ入り蒸しパン(商品名:「高キビほっぺ」)を商品化・事業化しました。
超高速度X線撮影装置
研究シーズ/ 佐藤 英一(岩手医科大学)
実施機関/ (株)トーレック
パルスパワー技術を駆使した数種の超高速度X線撮影装置を開発し、(株)トーレックが製品化、販売中です。写真のストロボX線装置におけるフォトンエネルギー及び繰り返し頻度の最大値はそれぞれ約100keV及び32kHzで、X線照射時間は10μsから1.0msの範囲で調整できます。医療も含めたさまざまな分野における超高速度X線撮影が可能です。
高感度血流速度計測装置
研究シーズ/ 竹内 康人(鹿児島大学) 他
実施機関/ 東京マイクロデバイス(株)花巻工場
超音波のドプラ効果を利用する血流速度計測装置において、超音波素子の材質・構造、検出・増幅・表示の電子回路を工夫することにより、従来の装置に比し5倍高感度で、しかも高精度な装置を東京マイクロデバイス(株)が開発しました。人体の複数部位の血流速度同時測定(特許出願済み)等への応用が可能です。
モールド金型用離型剤
研究シーズ/ 森 邦夫(岩手大学)
実施機関/ リコー光学(株)
有機メッキ法により金型表面の撥水性処理を行い、樹脂成形製造時の金型と樹脂の離型性を改善し、金型汚染防止法を開発しました。有機メッキ処理金型は長期間清掃せずに生産することが可能となり、リコー光学(株)において精密光学樹脂成形用金型に応用したところ、金型の寿命が著しく延びてメンテナンス費用が低減され、金型の再利用が可能になりました。
自然現象のビジュアルシミュレータ
研究シーズ/ 千葉 則茂(岩手大学)
実施機関/ (株)ジェーエフピー
自然景観や伝統芸術のビジュアルシミュレーションのためのCG技術を総合的に開発し、(株)ジェーエフピーによる製品「バーチャルガーデニング」(MMCA公募事業・ソフト発売中)などのマルチメディアコンテンツに応用されています。
ネットワーク構築
新技術創出研究会
医療工学研究会、情報新技術研究会、金型技術研究会、磁場応用研究会を開催し技術ニーズ、研究シーズの探索、研究課題の検討を行ってきました。金型技術研究会からは、NEDOベンチャー企業育成型地域コンソーシアム研究開発事業に「次世代金型製造プロセスに関する研究開発」(平成10年度)が採択されています。
コーディネート研究会
コーディネート研究会は本事業における産学官ネットワークの柱であるとの認識から特に重視し、広い県土をカバーし、県外との連携もとれるように順次構成機関を拡大しネットワークの強化拡充を図ってきています。技術ニーズ、研究シーズの発掘、結合、研究開発プロジェクトの企画、産学官交流に関する意見交換、情報交換を行っています。
 
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