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地域結集型共同研究事業

平成15年度事業終了地域事後評価報告書



平成16年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会

4. 地域別評価
4−3 宮城県
◆(参考1)事業の目標・概要
 わが国では、高齢化が急速に進む一方、医療技術の進展に伴い、救命率、延命率が著しく向上した結果、心身に障害が残り、その後の生活に影響を受ける人々も増加してきている。中でも、脳血管障害や脳・脊髄の損傷などによって動作遂行能力が低下し、社会生活全般にわたって大きなハンディキャップを背負うこととなることから、高齢者や障害者が安心して暮らせるバリアフリー社会の実現、介護負担の軽減は、重要課題となっている。
 宮城県では、「日本一の福祉先進県づくり」を目指すとともに、「福祉・医療機器産業の振興」を県政の最重要施策としており、本事業もその一環のものである。
 宮城地域における産学官のポテンシャルを結集し、治療的電気刺激(Therapeutic Electrical Stimulation,以下「TES」という。)及び機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation,以下「FES」という。)を用いた最先端リハビリテーションの確立を目指し、「生体機能再建・生活支援技術−機能的電気刺激システムを中核とする最先端リハ・福祉システムの構築と新産業の創出−」をテーマとして設定する。具体的には、目標を「片側あるいは両側の下肢完全麻痺者がフィードバックFES制御により足こぎ車椅子を走行させ、かつ目的の場所で起立及び数歩の歩行を可能とさせるインテリジェントFESの実現」と設定して、世界最高水準のFES技術、磁性材料の研究シーズ等を有する東北大学の医学系・工学系研究者を中心とする地域における産学官の研究ポテンシャルを結集し共同研究を実施するとともに、その成果の産業化のプロセスを地域の産業政策として定着させ、新製品、新産業の創出、ネットワーク型地域COEの構築を推進するものである。
 以上の目標を達成するために、研究テーマを次のように設定する。

(1) 21世紀の医療と福祉を拓くインテリジェント生体機能再建と生活支援システムの開発を達成する技術としての医学系の3テーマ
1-1 インテリジェントFESによる生体機能再建システムの開発
 運動障害が重度から軽度までの広範囲を包括するインテリジェント性を持つFESシステムの開発と患者負担の少ない表面式刺激電極の開発を行い、基本動作がシームレスに移行されることを目指す。
1-2実生活での福祉・リハシステムの開発
 実生活を想定したFES/TESによるリハ効果、進捗を定量的に評価するシステムの研究開発やVR画像とFES/TES併用による中枢神経賦活効果を目的とした画像医療プロトコルの開発を行う。

1-3中枢神経運動機能及び電気刺激に伴う神経・筋機能の解明
 脳による運動機能のメカニズムの解明、及び電気刺激に伴う神経・筋機能の解明を展開し、将来のFESを発展させる研究を行う。

(2) 21世紀の医療・福祉を支える生体情報センシング・システムの開発を達成する技術としての工学系の2テーマ
2-1室温・超高感度磁気センサの開発
 室温で動作する10-8Oe台の感度を有する超高感度磁気センサの開発を目指す。また、関節運動をリアルタイムでセンシングする新たなシステムを開発する。
2-2FESを支える生体情報センサの開発
 電気刺激により起立及び歩行するヒトの姿勢制御に用いる荷重ベクトルセンサシステムを構築する。

 平成12年度に行われた中間評価において、実用化を意識することと、医学と工学の連携の必要性について指摘がされた。
 上記指摘事項を受けて、研究開発テーマを、これまでの研究開発成果と試作品の進捗状況を勘案し、さらに事業化への展開を眺めながら、商品化が実現で出来る研究課題に集約した。さらに、医学と工学の両分野の開発が円滑に展開できるように、新たに2名の研究推進顧問を設置し、研究体制を強化した。
 再編成後のフェーズIIの共同研究は医・工連携研究体制をとった3テーマからなる。

(1) インテリジェントFESによる生体機能再建システムの開発
(2) 実生活での福祉・リハシステムの開発
(3) FESを支える生体情報センサの開発
 フェーズIIまでの主たる研究成果例は、以下の通りである。

(1) インテリジェントFESによる生体機能再建システムの開発
高機能臨床用FESシステムを開発し、従来の2倍以上の歩行速度を実現。
パワーアシスト機能を有するFESサイクリングチェアを開発。
(2) 実生活での福祉・リハシステムの開発
上肢用および下肢用VR訓練システムを試作し、患者による評価実験を実施。
TESを用いた排尿障害治療装置を試作。その有効性を検討し臨床試験を実施。
(3) FESを支える生体情報センサの開発
4.5×10-8Oeの磁界検出分解能実現した磁気センサを用いた顎運動計測装置を試作。
FESによる起立歩行を支援する靴底ベクトル荷重センサシステムを試作。

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