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地域結集型共同研究事業

平成15年度事業終了地域事後評価報告書



平成16年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会

4. 地域別評価
4−2 山形県
◆(参考1)事業の目標・概要
 山形県は、全国でも有数の食料生産県として豊富な生物資源とその活用を意図した遺伝子工学をはじめとする生物分野の技術が蓄積されている。工業分野においては、電気、機械などの研究開発型企業が数多く立地しているほか、本県が戦略的な研究分野として位置づけ、山形大学工学部と生物ラジカル研究所を中心として精力的に推進してきたライフサポートテクノロジー(生命・生活支援工学)に依拠する生命活動センシングの基礎理論から応用技術までに関する高度な研究集積がある。
 また、山形県新総合発展計画(平成7年2月策定)では、県政推進の3本柱の1つに、「新時代を拓く産業革新」を掲げ、既成の産業基盤の発展と新たな社会ニーズに対応した産業の創出を推進することとしている。
 本事業は、このような背景のもとで、地域の研究ポテンシャルを核に生物分野と工業分野の技術融合による研究集積を図り、独自性を持つ多彩な食材と生物材料の創生をとおして競争力に優れた産業の創出を目標とするものであり、併せて、研究開発とその事業化が相互に循環、フィードバックしながらより高度な形で発展するネットワーク型の地域COEの基盤構築を目指すものである。
 以上の目標を達成するために、研究テーマを次のように設定する。

(1) 生体高分子研究(動物性生体高分子の遺伝子による機能制御技術の開発)
1-1 「分子育種による食肉の機能性成分強化と畜産食品開発」
 DNAマーカーによる機能性不飽和脂肪酸に富む優良家系の選択と牛群整備の研究。
1-2「初期胚の生命活動センシングと分子機構の解明」
 クローン胚の体外受精培養システムの開発。

(2) 有用微生物研究(微生物機能を活用したバイオマテリアル開発)
2-1「Rhodotorula属酵母が菌体外に産出するマンナンの利用技術開発」
 マンナンの大量培養系の確立、マンナンの利用技術開発、ベンチスケールでの生産効率向上と安定生産法を分担連携して取り組む。
2-2「微細藻類の生産機能を利用したバイオマテリアル作出の技術開発」
 ヒトコラーゲンの組み換え微細藻類の創出。

2-3「新機能を持つアルコール飲料の開発」
 芳香呈味成分を醸し出す酵母の利用技術の開発、酵母の開発研究。

(3) 果樹分子育種研究(生殖系におけるストレス耐性果樹作出のための分子育種技術の開発)
3-1「遺伝子導入系の開発と雌ずい発現性耐冷性関与遺伝子を導入した組換え体の作出」
 耐冷性関与遺伝子の単離と遺伝子導入系の開発、再分化系の開発、雌ずい発現性プロモーターの遺伝子単離。
3-2「果実成熟関与遺伝子発現を抑制した組換え体の作出とその評価」
 果実成熟関与遺伝子の単離と遺伝子導入系の開発、再分化系の確立。

(4) 生命活動センシング研究(環境制御ストレス制御による機能性食材創生を目指した生命活動センシング技術開発研究)
4-1「環境ストレス制御による機能性食材開発のための分光計測・画像化及び局所計測技術」
 電子スピン(ESR)法の実用化研究、装置化研究を行う。また、可搬型ESR装置による植物のストレス応答のin vivo計測技術に取り組む。
4-2「光波によるシークエンス断層画像化技術と生体計測への応用」
 光波によるシークエンス断層画像化技術の基盤研究。

 平成12年度に行われた中間評価において、遺伝子工学系と生命活動センシング系の研究者が共に参加するような研究体制の構築が必要であるとの指摘がなされた。
 上記指摘事項を受け、次の研究テーマを追加した。

(5) 複合技術融合研究
5-1 「体外培養胚の品質評価装置の実用化研究」
 電気化学顕微鏡原理に基づく体外培養胚の品質評価の基盤研究、装置の開発研究、計測に付随するキットの開発研究と装置の実用性研究。
5-2 「培養細胞を用いた薬剤および機能性成分の評価システムの開発」
 評価のための実験系の開発。
5-3 「植物のポリフェノール成分を増加させるストレス栽培の確立と適用」
 基盤技術、生産の現場を踏まえた実用性研究。
5-4 「果実および牛肉の品質特性を評価する光センシング装置の開発」
 光センシングの応用技術の確立と試作機の開発、実用性の検討研究。

 フェーズIIまでの主たる研究成果例は、以下の通りである。

(1) 今後の幅広い応用展開が可能な基盤技術を創出
生命活動の無侵襲(非接触・非破壊)計測技術
有用酵母の活用技術
遺伝子解析と活用技術
(2) 製品化
光干渉断層眼底診断装置
ウシ受精卵呼吸量計測装置
ES様細胞用無血清培地
高リンゴ酸清酒
ヘリウムフリーWバンドESR装置

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