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地域結集型共同研究事業

平成13年度事業開始地域中間評価報告書



平成16年1月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会

5. 地域別評価
5−1 青森県
◆(参考1)事業の目標・概要
 21世紀はハイブロードバンドのディジタルネットワークが基本的な社会基盤となり、ギガビットネットワークのインフラが整備されると、文字情報から映像情報へ、静止画から動画への多量のデータ処理とともにこれに対応した電子ディスプレイの性能が要求されることが見込まれる。
 こうしたことに伴って、各個人が電子ディスプレイを見続ける時間が長くなり、長時間みても目が疲れない目にやさしいディスプレイが求められるほか、徹底的な低消費電力化が求められる。
 また、家庭用のエンタテイメントを考えた場合、大画面のディスプレイが求められているが、大画面液晶ディスプレイは市場に出ているものの高価であるため、普及するには至っていない。
 そこで本事業では、これらの要求を満たす、「目に優しい、高品位、30インチの大画面、消費電力20W以下、低価格」のフラットパネルディスプレイを平成18年度までに創出することを最終目標として研究開発を推進し、それによりフラットパネルディスプレイの次世代技術に対応しうる実践的な研究ネットワークを構築して地域COEを形成するなど、青森県が策定したクリスタルバレイ構想の早期実現を目指す。

1)地域COEの構築
 むつ小川原工業開発地区にフラットパネルディスプレイ関連産業の集積を目指したクリスタルバレイ構想(平成13年1月策定)については、青森県ではクリスタルバレイ構想推進庁内連絡会議を設置し、全庁をあげてその推進に取り組んでいるところであるが、本研究事業はその中枢的な役割を担う「FPD先端技術研究所(仮称)」の機能を先行的に実施するものであり、県としても産学官の連携を強化しつつ全庁をあげて取り組むこととしている。
 本研究事業では、青森県内を主体とした地域の産学官ネットワークを構築して、FPDの研究を継続・発展させ、さらにその成果を利活用する体制を整えるべくクリスタルバレイ構想に連携させることによって、平成18年度には新たな地域COEの実現を図ることを目標とする。

2)新技術・新産業の創出
 液晶ディスプレイは日本が創出した産業分野であるが、近年、生産拠点が台湾、韓国、中国等へ移行が目立ち始め、国内のディスプレイ産業が疲弊しつつある。しかし、現在の構造のディスプレイでは、30インチ程度以上のエンタテイメント対応の大画面は、実現できない。このため、新しい構造のディスプレイを創出できれば、近隣諸国と差別化を図ることができ、再び日本の優位性を保つことができるようになる。
 この戦略を図る上で、本事業においては光学効果を発揮する表示素子と駆動面から大画面や高精細化を図る半導体の2つのコアテーマを設け、それぞれ以下に示すテーマで研究を推進することにより、最終目標である「目に優しい、高品位、30インチの大画面、消費電力20W以下、低価格」の液晶ディスプレイ創出を目指す。

コアテーマA 高性能表示素子の開発研究
A−1 超高速、低電力、高輝度、広視野角液晶表示モードの創出
 高品位大画面ディスプレイの実現を目指し、ブロードバンド時代の動画像も鮮明に表示できる応答速度の速い新規の液晶モードであるOCBモードを開発する。
A−2 液晶応答速度の高性能化
 液晶材料の応答速度を高速化することにより、ディジタルネットワーク時代の大容量映像データの表示を可能とするフラットパネルディスプレイの実現を目指す。そのために、低粘性、高誘電率異方性、高屈折率異方性、弾性定数の最適化、高抵抗率の液晶材料開発を行う。
A−3 高性能ディスプレイの測定、設計、評価技術の確立
 材料およびデバイスパラメータを精密に測定して高性能ディスプレイの設計を可能にすると共に、試作したディスプレイの表示性能の評価を行うため、標準となる測定対象を創出し、高精度な電気光学効果の評価技術の確立を目指す。
コアテーマB 薄膜トランジスタ基幹技術の創出
B−1 新駆動素子構造の創出
 大画面高精細低消費電力フラットパネルディスプレイを低価格で実現するためのTFT基板の新構造開発と新しい生産方式の開発研究を行う。具体的には、新規な多成分ガラス基板均一エッチング技術ないしは選択アディティブ配線技術を開発し、低容量低抵抗埋め込み配線構造及び低価格生産技術の実現を目指す。

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