戦略的情報通信研究開発推進制度
【施策・事業概要】
- 事業名称 戦略的情報通信研究開発推進制度
- 所管官庁 総務省 情報通信政策局
- 開 始 年 平成14年度
- 予 算
平成14年度 15億
平成15年度 23億9,000万
- 事業概要
第2期科学技術基本計画、e-japan重点計画、情報通信研究開発基本計画等による優れた成果を生み出す研究開発システム構築等を受け、情報通信分野の研究開発における産学官の連携の推進を図ることにより、優れた研究開発成果を創出する戦略的な重点目標に沿って、産学官の連携により、社会経済の発展、国民の安全・安心、地域の活性化、国際競争力の向上等を担う情報通信技術の研究開発を継続して推進するとともに、我が国の研究開発力をさらに向上させることを目的としている。
なお平成16年度より、「民間企業と大学等若しくは国や地方自治体等の研究機関との連携により成る究共同体が実施する地域における情報通信技術の振興・向上に寄与する研究開発」を対象とする、「地域情報通信技術振興研究開発」枠を設置している。
- 研究対象
総務省において、以下の戦略的な重点目標に沿った研究開発課題を募集し、2段階による評価を行い、優れた研究開発課題に対して研究費及び間接経費を配分する。
- @ 特定領域重点型研究開発
- 情報通信分野の中でも特に戦略的重点化を図るべき研究領域を設定し、当該領域において、独創性や新規性に富む萌芽的研究・基礎研究から、既存の研究成果を活用した応用研究・開発研究までを対象とする。
- 次世代ネットワーク技術
- 無線技術・宇宙通信技術
- 次世代ヒューマンインターフェース・コンテンツ技術
- 情報通信新機能・デバイス技術
- A 研究主体育成型研究開発
- 情報通信分野の研究開発の担い手(研究主体)として特に重要性が高いと思われる、@ 35才以下の若手研究者、A 産学官連携による研究共同体、B 地域における情報通信技術の振興・向上に寄与する研究共同体、が実施する研究開発課題を対象とする。
- B 国際技術獲得型研究開発
- 国際標準化活動への貢献(研究開発成果の国際標準化提案等)を条件として、国際標準の獲得に必要不可欠な研究開発課題を対象とする。
【事業スキーム】
- 助成対象・要件
- @ 特定領域重点型研究開発
- 〔対象〕 大学、民間企業等の日本国内の研究機関に所属する研究者。
- A 研究主体育成型研究開発
-
〔対象〕
- 若手先端IT研究者育成型研究開発(若手研究者向け)
研究者が35才以下であること
- 産学官連携先端技術開発(産学官連携研究共同体向け)
- 地域情報通信技術振興研究開発(地域における情報通信技術の振興・向上に寄与する研究共同体向け)
@の要件の他産学官連携による研究共同体(コンソーシアム)であること。
- B 国際技術獲得型研究開発
- 〔対象〕 大学、民間企業等の日本国内の研究機関に所属する研究者
〔要件〕 開発した通信方式等を国際電気通信連合(ITU)や標準化フォーラム(IETF等)へ提案すること
- 研究期間
-
@ 特定領域重点型研究開発 最長3年
- (情報通信新機能・デバイス技術の開発は最長5年とする)
- A 研究主体育成型研究開発
- B 国際技術獲得型研究開発 最長3年
- 研究課題の採択
以下の2段階による評価を経て、学識経験者からなる評価委員会が採択候補を選定し、総務省が最終的な採択課題を決定する。
- @ 専門評価(ピアレビュー)
- 主に技術に関する研究開発内容について、高度に専門的な知識を有する外部専門家による専門的な知見に基づいて行う評価。
- A 総合評価
- 専門評価の結果に基づき一定数に絞り込まれたものについて、外部有識者が行う社会的波及効果や費用対効果といった観点も含めた総合的な評価。
- 採択実績
平成14年度 45件 (応募352件)
平成15年度 46件 (応募348件)
- 1課題当たり助成規模
@ 特定領域重点型研究開発 2,000万円/年
A 研究主体育成型研究開発
| 1,000万円/年 |
| 5,000万円/年 |
| 3,000万円/年 |
B 国際技術獲得型研究開発 5,000万円/年
- 知的財産権の帰属等
研究開発実施中に工業所有権等が発生した場合、「産業活力再生特別措置法(第30条:日本版バイドール条項)」に基づき、以下の条件の下、100%受託者側に帰属させることが可能。
@ 委託研究に係る成果については総務省に報告する。
A 公共の利益のために特に必要がある場合、無償で利用権を国に許諾すること。
B 当該権利を相当期間活用していないと認められる場合で総務省が求めるときは、その権利を第三者に許諾する。
- 研究の評価・審査
採択された課題について、目標達成状況を毎年度評価し、研究継続の可否を含めその後の研究計画・資源配分等を見直すために継続評価を行う。
研究期間が4年、5年の課題について3年経過時点で実施する継続評価は、研究の継続の可否、規模の拡大縮小等を特に厳密に評価する。
事後評価として、研究開発終了時における目標達成状況を評価、また研究開発終了後一定の期間が経過してから、成果の波及効果や活用状況等を把握するために追跡評価を必要に応じて行う。
【実施状況】
- 地域性についての考え方
総合科学技術会議より地域国公立大学、公設試験場、企業のシーズの活用という観点から提案があり平成16年度より「研究主体育成型研究開発」に「地域情報通信技術振興研究開発」プログラムを設置した。
助成対象として「原則として同一の都道府県内にある民間企業1社以上、および大学等若しくは国や地方公共団体等の研究機関1機関以上が参加すること。」としたが、その最大の理由として公設試験場の地域密着型という性格の活用が挙げられる。「同一の都道府県内」という要件については、検討段階では「地方局が管轄する同一地域内」という意見も出されたが、公設試を念頭に「都道府県」を選択した。しかし新規プログラムであることから未だ模索の段階にあり、基本的には隣接自治体内であれば認める方針である。
公募を地方局毎に行っており、結果的に地方局が有する地域とのコネクションを活用して地域内で研究体をまとめる事例も見られる。
研究成果の地域における活用については、情報通信技術開発自体が基礎研究系が多く、地域性は出しにくい分野と言える。しかし例えば山間地域等特定地域向けのソリューション振興等に研究成果を活用することは考えられる。また実証実験のフィールドとしても活用は可能である。
- 新事業創出効果についての考え方
総合評価における評価基準として「地域の社会経済への波及効果」(新規サービスや新規産業の創出、既存産業の活性化、情報化の推進などの波及効果が期待されるか。研究成果を活用して地場産業の振興、新規事業の創出、地元住民の生活向上等、地域社会・経済活動の活性化に寄与することが期待されるか。)が規定されているが、あくまで研究開発への助成が基本となるので、研究開発レベルの高さ、緊急性等を重視し、必ずしも新事業創出効果は求められる要件ではない。
- 他事業との関係性
他の研究開発助成制度との重複応募は禁止している。