環境技術開発等推進費

【施策・事業概要】

  1. 事業名称  環境技術開発等推進費

  2. 所管官庁  環境省 総合環境政策局

  3. 開 始 年  平成13年度

  4. 予  算  
    平成13年度  7億円
    平成14年度  7億6,500万円
    平成15年度  7億6,500万円

  5. 事業概要
     本事業は、持続可能な社会の構築などの社会的要請や総合科学技術会議における環境分野の検討等を踏まえ、環境負荷低減、改善・修復、環境監視計測等の分野において緊急に開発すべき環境技術分野を特定し、各研究機関において実施される当該分野に係る研究・開発・実証課題を支援することにより、比較的短期間で実用化が見込まれる環境技術の開発・普及の推進を図るべく、従来実施の「未来環境創造型基礎研究推進費」を継承するかたちで創設された。
     具体的には下記の通り、次世代の環境保全技術の基礎となる「知的資産」を蓄積するための「基礎的・基盤的研究課題」、対応が急がれる技術の研究・開発・実証を行う「実用化研究開発課題」及び総合科学技術会議が策定する環境分野の推進戦略において重点領域の一つに位置づけている自然共生型流域圏・都市再生技術研究課題について助成を行う。

  6. 研究対象
    〔基礎研究開発〕
     環境について未解明な現象や現状の環境保全技術では対応できない課題が非常に多く基礎段階から徹底的な研究が必要であり、また今後予想される将来の環境リスクに予防的に対応するための研究開発課題に取り組む必要がある。このため、以下の分野について、産学官の連携の下、次世代の環境保全技術の基礎となる「知的資産」を蓄積するための基礎的・基盤的研究を重点的に実施する。
    @ 次世代型環境リスク評価技術分野
    化学物質等の多種多様な環境リスク要因が生物に及ぼす影響についての総合的・複合的評価に必要な基礎研究
    A 良効率環境修復技術分野
    各種溶剤、重金属等の使用による土壌汚染、水環境等の広範囲に及ぶ環境汚染を生物の機能等を利用することにより、環境への負荷の少ない方法で効率的に修復するために必要な基礎研究
    B 健全な生態系保全及び自然とのふれあいに関する技術分野
    地域の生態系を保全、再生、創出、又は維持管理するために必要となる基礎研究。環境保全に配慮した「人と自然との豊かなふれあい」の在り方やそれを実現するための方法などの基礎研究

    〔実用化研究開発〕
     環境保全対策技術の確立・普及については、従来は発生した環境負荷の後処理対策技術が中心であったが、環境負荷を低減する生産システム・技術、環境汚染物質による負の遺産の処理技術、環境を修復・改善する技術、環境悪化を予防するための対策技術などについての取組を強化していく必要がある。このため、本制度による研究開発の終了後比較的短期間のうちに実用化が見込まれる環境技術について、研究、開発を重点的に推進する。
    @ 自然共生技術開発分野
    流域圏の良好な自然環境の保全、劣化した生態系等の修復や悪化した生活空間の改善のために必要となる要素技術の開発及びシステム開発(自然共生化技術開発プログラム)
    A 環境負荷低減技術分野   
    環境への負荷の低減技術(都市熱負荷・排ガス削減対策技術、光害対策技術、低コスト・省スペース・簡易設置型生活排水等)
    B 環境改善・修復分野
    汚染された水環境、土壌環境等の効率的な改善・修復・回復技術(湖沼等の効率的水質汚染改善技術、干潟・藻場等を活用した水環境回復・修復技術等)
    C 健全な生態系の維持・再生分野
    健全な生態系の維持に資する技術及び劣化した生態系等の効率的な再生技術(干潟・藻場等の復元による生態系の再生技術等)
    D 環境監視計測・高度情報化分野
    既存の情報・データを加工し、環境政策に活用できる情報・データを生み出すための研究、測定やデータの統計処理の迅速化のための研究

     全ての技術分野において、ナノテクノロジーを効果的に活用・開発する研究等環境とナノテクノロジーとの融合領域を扱う課題については、優先的に採択する。環境省「地球環境研究総合推進費」「廃棄物処理等科学研究費補助金」における対象技術分野に該当する研究開発課題は、公募の対象としない。

【事業スキーム】

  1. 助成対象・要件
    @応募者(研究開発代表)は下記の試験研究機関等に常勤の研究者として所属する者とする。
    国立試験研究機関、独立行政法人試験研究機関、学校教育法に基づく大学(大学等共同利用機関を含む。)、高等専門学校、法律により直接設立された法人又は民法第34条の規定に基づき設立された法人の試験研究機関・部門、地方公共団体の試験研究機関、民間企業(日本の法人格を有すること)の試験研究機関・部門、その他日本の法人格を有する組織の試験研究機関・部門
    A研究開発代表者は、研究開発分担者と共同して共同研究開発プロジェクトを組むことができる。共同研究開発プロジェクトは、産学官の連携が図られていることが望ましい。

  2. 研究期間
    基礎研究開発   3年間
    実用化研究開発  2年間

  3. 研究課題の採択
     総合環境政策局長が委嘱する外部有識者で構成される「総合研究開発推進会議」の事前評価(「書面評価」、「ヒアリング評価」)の結果を踏まえ、財務省と協議を行った上で、環境省において採択する。

  4. 採択実績
    平成13年度  11件 (応募191件)
    平成14年度   2件 (応募22件)
    平成15年度  10件 (応募74件)

  5. 1課題当たり助成規模
    基礎研究開発   2,500〜5,000万円/年
    実用化研究開発  2,500〜5,000万円/年

    (研究開発等の充実を図るため、実用化研究開発のA〜Dまでの分野について、若手研究者(常勤の研究者としての在籍期間が5年以内の者)によるフィージビリティスタディを推進する。その場合の助成の規模は3,000万円(ただし、研究開発代表者及び研究開発分担者一人当たり650万円まで)を上限とし、助成の期間は1年間とする。)

  6. 知的財産権の帰属等
    本事業の研究開発事業で得られた成果に関して特許権等の知的財産権を得た場合は、その設定を公示した文書の写しを添えて環境大臣に届け出る義務を負う。また当該知的財産権を譲渡する場合は、譲渡を受ける者から相当の対価の支払いを受けることを契約等において定めることが求められている。

  7. 事業のフロー

    研究開発代表者は毎年度、研究開発の進捗状況についてとりまとめ、進捗状況報告書(研究開発が終了したときにあっては、研究開発成果報告書)として提出しなければならないとされている。また、実用化研究開発領域の自然共生化技術開発分野は、総合科学技術会議における分野別推進戦略と深く関連するものであることから、環境省の求めに応じ事業実施状況の説明等同会議への対応を求められることもある。


【実施状況】
  1. 地域性
     地域の生態系を保全、再生、創出、又は維持管理するための技術、あるいは自然共生技術、環境改善・修復技術、健全な生態系の維持・再生技術など、研究を進める段階で、定点観測を必要とするような研究は特定地域を対象としていることから、研究分担者も特定地域に根ざしているケースが多い。
     また、こうした研究はフィールドとなる土地を確保しなければならないことから、研究者個人、一研究機関レベルでの展開が非常に難しいこともある。そのため研究の対象となるフィールドの確保の観点から、その地域の公的研究機関(農業試験場、水産試験場等)との連携が必要となることもある。

  2. 新事業創出効果
     本事業では「環境保全対策技術の開発」という側面から実用化研究開発を公募しており、新事業創出等は特段視野には入れていない。

  3. 研究の評価・審査
     研究開発期間が2・3年のものは研究開発開始後2年目の下半期に、4年以上のものは3年目の上半期に中間評価を実施する。

  4. 他事業との関係(重複応募等への対応) (他事業との関係)
     既に他省庁の研究費助成制度による助成を受けている、あるいは助成が決定している研究等と内容が同様と認められる研究課題などについては、重複した補助金の交付は行わない。


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