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研究成果最適展開支援事業(A−STEP)「育成研究」
平成21年度終了課題 事後評価報告

平成22年4月
独立行政法人科学技術振興機構
 イノベーション推進本部 産学連携展開部



(1)JSTイノベーションサテライト茨城

課題名: 介護予防リハビリ体操インストラクター補助ロボットの開発
代表研究者産業技術総合研究所 知能システム研究部門長 比留川博久
共同研究企業等茨城県立健康プラザ、ゼネラルロボティックス(株)
研究期間平成19年1月〜21年9月(平成18年度採択)
 
【総評】 リハビリ体操を考案した茨城県立健康プラザの大田先生の発想をベースに、ロボットのスムーズな動きを可能にするサーボモータモジュールと本体ハードウェア/ソフトウェアおよびヒューマンインターフェースを開発し、当初予定した人型ロボットを実現した。
 産業用ロボットと違い人間型ロボットの事業化は、一般的にもまだ難しい段階にあり評価が難しいが、今回開発したロボットは、高齢者福祉に関係しており、市場は小さいが、社会貢献が期待できる。


課題名大面積電子デバイス用基盤技術のための大気圧マイクロプラズマ処理装置の開発
代表研究者埼玉大学 大学院理工学研究科 教授 白井肇
共同研究企業等埼玉県産業技術総合センター、北野精機(株)、日本電鍍工業(株)、ナノテック(株)
研究期間平成18年12月〜21年9月(平成18年度採択)
 
【総評】 本研究は、大気圧プラズマジェットによる非晶質シリコン(a-Si)膜の結晶化技術への応用を中心に、サブミリメーターからセンチメートル領域のアニール、成膜及び加工技術の要素技術開発を中心にスタートしたが、目標達成の見通しが得られないため、レーザを超える性能を目指すよりも結晶過程を解明しつつ改良を進め、用途に適した応用へ絞り込むよう方向変換した。その結果、要求される用途毎に十分な結晶化ができる目処が確認され、また、そのプラズマ源をライン状に生成することにより、最大課題のタクトタイム短縮の見通しが得られ、装置メーカの注目を得、共同研究に進展する成果に繋がった。また、開発したプラズマ結晶化過程の実時間診断技術は高く評価でき、これだけでも商品化できる可能性がある。


課題名ドライプロセスによる3次元高密度微細配線要素技術及び電子モジュール実装技術の開発
代表研究者茨城大学 工学部 教授 前川克廣
共同研究企業等茨城県工業技術センター、 ハリマ化成(株)、御田技術士事務所、(株)ピーエムティー
研究期間平成18年12月〜21年9月(平成18年度採択)
 
【総評】 研究開始1年を経過した後に、研究のスタート時点で実施する予定であった各テーマにつ いて、それまでの研究進捗を考慮し、プロジェクト参画機関およびサテライト茨城の間にて協議した。その結果、すべてを実施計画の研究期間内にこなすには課題が多岐にわたるために困難であると考えられ、「ポリイミド基板上への微細配線技術及び3次元高密度微細配線基板の開発」テーマを中断し、「金属基板リードフレーム上への機能性膜作成技術」テーマに絞り込んだ。これにより、金属ナノペーストのインクジェット印刷およびレーザ焼結法を用いた電子基板への微細配線・機能性膜形成技術及び積層技術を開発し、特にリード先端へのパッド形成に関し、大気中ドライプロセスによる「高速レーザめっき法」を確立した。今後の研究目標である、省資源・低環境負荷の高密度電子モジュール実装技術に関し実用化の目処も得られた。次につながる可能性も出てきた。


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(2)JSTイノベーションサテライト静岡

課題名廃油脂資源からリボフラビン生産技術の開発
代表研究者静岡大学 創造科学技術大学院 統合バイオサイエンス部門  教授 朴 龍洙
共同研究企業等静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センター、水澤化学工業(株)
研究期間平成19年1月〜21年9月(平成18年度採択)
 
【総評】
食用油脂精製に用いられた後に廃棄される廃白土から微生物(菌株)を使って飼料用リボフラビンを生産する研究開発は、廃棄物の再資源化という観点で高く評価でき、当初のリボフラビン生成効率の数値目標は未達であったが、生成効率の高い菌株の育種と培養に関する多くの研究的知見を得ることに寄与した。
企業化については製品の市場価格が大きく低下したことにより、製品化の方向をリボフラビン含有飼料へ変更し研究を継続することで新たな知見も得たが、事業化への道筋はまだ不明確な状態で、今後、企業化の戦略を再構築する必要がある。


課題名光電子分光法の深さ方向分析用帯電液滴衝撃エッチング装置の開発
代表研究者山梨大学 クリーンエネルギー研究センター 特任教授 平岡 賢三
共同研究企業等日本電子(株)
研究期間平成19年1月〜21年9月(平成18年度採択)
 
【総評】
有機材料や半導体材料などの深さ方向分析において試料表面をナノレベルで損傷なくスパッタエッチングできる性能を持つ帯電液滴衝撃(EDI)エッチング装置の開発という研究目標は、試作した装置の性能を実験評価することによって、達成されていることが確認できた。
このような性能をもつエッチング装置は世界初であり、高分子、金属、半導体などの材料加工分野等、応用分野も広く市場要望も高いので企業化の期待度は高い。
本装置の基本特許をもとに、試作装置の設計と実験を通じて得た企業化する上で重要となる装置構成や仕様に関する知的財産の特許出願ができた。
本研究の成果を企業化するために、他の研究助成制度(JST研究成果最適展開支援事業:A-STEP)に応募申請中で、今後の企業化の道筋も明確になっている。


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(3)JSTイノベーションサテライト徳島

課題名微生物・昆虫のモニタリング法の開発およびオーダーメイドタイプ殺菌・殺虫剤の開発
代表研究者高麗 寛紀(徳島大学大学院ソシオテクノサイエス研究部 教授)
共同研究企業等アース・バイオケミカル(株)、深江化成(株)、タマ化学工業(株)
研究期間平成18年12月〜21年9月(平成18年度採択)
 
【総評】 殺菌剤については,当初の目標を達成し期待した成果が得られている。時間はかかるが実用化が期待される。しかし,製薬メーカーとの連携がこれまでに出来ていない点が気がかりであり,商品化に向けて努力が必要である。
殺虫剤の開発は,実用化レベルまで至っていない。新しい事業に応募し,今後の実用化に向けて一層の努力を期待する。



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(参考)

プログラムオフィサー名簿
プラザ・サテライト 氏名 所属
サテライト茨城 後藤 勝年 JSTイノベーションサテライト茨城 館長
サテライト静岡 徳 山 博 于 JSTイノベーションサテライト静岡 館長
サテライト徳島 今枝 正夫 JSTイノベーションサテライト徳島 館長

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