平成21年7月 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
イノベーション推進本部 地域事業推進部 |
課題名 | : | インフルエンザウイルス感染の新規診断キット、予防薬、治療薬の実用化研究 |
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代表研究者 | : | 北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター センター長 喜田 宏 |
共同研究企業等 | : | (株)オステオファーマ、旭化成(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】インフルエンザワクチンと診断キットの開発については、育成研究の成果をもとに次のステップである研究開発資源活用型に進むなど、全体として非常に優れた進捗状況にあり、医薬としての実用化が早期に実現することが期待される。H5-N1を中心とする治療薬やアポトーシス誘導制御薬の共同研究にも今後の進展が期待される。また、国が今後の新型インフルエンザのパンデミック対策として、多様な亜型のワクチンを備えていくことを期待したい。 |
課題名 | : | 高分散性・高機能ナノカーボン複合材料の開発 |
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代表研究者 | : | 北海道大学 大学院地球環境科学研究院 教授 古月 文志 |
共同研究企業等 | : | (株)ダイナックス、(株)科研テック、(株)岸本医科学研究所、(株)イノアックコーポレーション |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】高性能・低コスト新分散剤の開発をベースにカーボンナノチューブ(CNT)の単分散技術の確立と高性能複合材の開発を行い優れた達成度である。幅広い用途への展開も期待され早期製品化も見込めそうであるが、平成20年5月にカーボンナノチューブの毒性について指摘する論文が発表されており、科学的根拠に基づき、安全性を確認した上で、商品化を行う必要がある。 |
課題名 | : | 常温常圧下におけるハイドロキシアパタイト厚膜形成法の開発と新しい虫歯治療への応用 |
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代表研究者 | : | 東北大学 大学院工学研究科 教授 厨川 常元 |
共同研究企業等 | : | (株)仙台ニコン、(株)サンギ |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】本プロジェクトは、室温・大気圧下でハイドロキシアパタイト(HAP)微細粒子を高速で歯の表面(エナメル質、象牙質)に衝突させ、HAP膜を形成するための、 HAP粒子とPJD(Powder Jet Deposition)装置を開発し、新規技術による歯に優しい歯科治療の実現を目指した。試作・評価・改良による最適化とシミュレーションによる現象解明により、機械的強度、及び歯との密着性に優れたHAP膜を形成できるPJD装置の試作に成功したことは高く評価できる。更に、抗菌性HAP粒子の製造法や口腔内HAP粒子回収機構も確立した。今後、大学での研究継続による企業支援、企業でのHAP粒子の量産技術確立、HAPカートリッジの改良、PJD装置量産体制構築、医療機器認可のための臨床試験実施が予定されており、事業化を期待できる。 |
課題名 | : | REG遺伝子発現によるがんの予後診断法の実用化と治療薬のグランドデザインの確立 |
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代表研究者 | : | 奈良県立医科大学 医学部 教授 高沢 伸 (前 東北大学 大学院医学系研究科 教授) |
共同研究企業等 | : | 東北大学、 (株)日本遺伝子研究所、(株)江東微生物研究所、大鵬薬品工業(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】本プロジェクトは、がん組織のREG(Regenerating Gene)遺伝子発現の検査法を確立することにより、がん患者の生命予後を予知・診断し、更にはREG遺伝子発現を抑制する治療薬のグランドデザイン確立を目指す意欲的な研究である。検査法に関しては、5種類のREG遺伝子発現を各々区別して定量するリアルタイムRT-PCR(Reverse Transcription - Polymerase Chain Reaction)検査キット(プロトタイプ)、及び抗体を用いて染色することにより定性的に判別する免疫組織学検査法を完成させた。両検査法とも先ず受託検査としての事業化が期待できる。生命予後に関しては、一部予知の可能性を示したと認められる。治療薬に関しては、更に基礎的研究が必要と思われる。構築中の研究者・臨床医ネットワークと産学共同体制による研究継続に期待する。 |
課題名 | : | 脂質メディエータースフィンゴシン-1-リン酸(S1P)を用いた新しい血管新生・再生療法の開発 |
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代表研究者 | : | 金沢大学 医学系研究科 教授 多久和 陽 |
共同研究企業等 | : | 中外製薬(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】新しい血管新生療法のための除法化製剤の開発は、動脈閉塞症などに対する血流改善療法の一つとして非常に重要な研究である。本プロジェクトの遂行により前臨床的な研究成果が得られている点は評価できる。
ただし、徐放化製剤を創製するという研究目的と照らし合わせると、製剤化への取り組みは不十分である。3年後に商品化あるいは企業化開発を継続することができるよう、今後、大学や企業の製剤研究者との研究協力体制の継続が望まれる。 |
課題名 | : | はんだ付け用低温硬化型導電塗料の開発 |
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代表研究者 | : | 富山県工業技術センター 所長 谷野 克巳 |
共同研究企業等 | : | マクセル北陸精器(株) |
研究期間 | : | 平成19年4月〜平成21年3月(平成18年度採択) |
【総評】研究開発計画の目標はほぼ達成していると判断され、はんだ付け可能な低温硬化型導電塗料
として上市した場合は実用的価値が高いと思われる。商品化に向けた課題は明らかにされていることから、共同研究企業の生産技術確立への積極性を期待したい。
この分野は、競争が激しいので、早期事業化のため、競合品に対するコスト、競争力の検討を行い、できるだけ早急の事業化を達成されることを切望する。 |
課題名 | : | 光波反応制御内燃機関をめざしたマイクロレーザーの研究開発 |
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代表研究者 | : | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構分子科学研究所 准教授 平等 拓範 |
共同研究企業等 | : | (株)日本自動車部品総合研究所、(株)豊田中央研究所、(株)デンソー |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】レーザーで点火する内燃機関は世界的に見ても例のない独自の技術として注目されており、実用化に向け今後さらに研究開発を続ける必要のあるテーマである。これまでの点火装置に対する優位性も実証され、実用化に向けての企業の取り組みも始められており、今後の展開が期待できる。 |
課題名 | : | グラファイトとフラーレンによる超潤滑システムの実用化研究 |
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代表研究者 | : | 愛知教育大学 教育学部 物理領域 教授 三浦 浩治 |
共同研究企業等 | : | 愛知県産業技術研究所、セイコーインスツル(株)、サハシ特殊鋼(株)、日産金属(株)、中央発條(株)、中京化成工業(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】新たな着想による潤滑物質に着目し、製造方法、応用製品について研究が進められた。本事業により、特徴のある潤滑材による高性能のワックスなどの製造の可能性が確認されており、装置、プロセスに関するノウハウ、特許戦略を高めて実用化に向けて着実な展開を期待したい。 |
課題名 | : | 可視光応答高機能マスクメロン型光触媒とその応用住宅部材の開発 |
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代表研究者 | : | (独)産業技術総合研究所サステナブルマテリアル研究部門 環境セラミックス研究グループ長 垰田 博史 |
共同研究企業等 | : | 岐阜県産業技術センター、積水樹脂(株)、(株)積水樹脂技術研究所、(財)名古屋産業科学研究所 |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】高い達成度で企業化の期待も大きい。本事業開始前の基礎研究の蓄積を利用して、3年という短期間の内に生産の基本技術がかなり詰まって商品化レベルに達している。今後は、競合製品に対する対策を検討して、光触媒効果を裏付けるデータから住宅内装への実用化に向けて拡がりを期待したい。 |
課題名 | : | 次世代半導体デバイスに向けた低エネルギーイオンビームの無発散走行照射技術の開発 |
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代表研究者 | : | 京都大学 大学院工学研究科 教授 石川 順三 |
共同研究企業等 | : | 日新イオン機器(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】低エネルギーでかつエネルギー幅の小さい、オールシリコン製電界放出型電子源(FE素子)を実現し、さらにこの電子源を用いて、低エネルギーイオンビームの発散を抑制できることを実証したことは高く評価できる。この手法はデザインルール45nm以降の次世代半導体に用いるイオン注入装置に要求されるイオンビームの発散の抑制のための本質的な解決手法であり、実用化が期待される。
研究機関の長年の蓄積をベースに、短期間でここまで当初目標を達成したことは高く評価されるが、実用機を用いてのデータ収集は十分とはいえない。FE素子の寿命や実装方法など製品化には困難も予想される。特に、実機では、現状の2桁以上大きな電子源電流が必要とされるので、その実現が大きな障壁となろう。解決に傾注して欲しい。 |
課題名 | : | 機能性材料を指向した有機ヨウ素化合物の資源循環型電解製造プロセスの開発 |
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代表研究者 | : | 京都大学 大学院工学研究科 教授 吉田 潤一 |
共同研究企業等 | : | 日宝化学(株)、ダイソー(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】本育成研究テ−マは、我が国が豊富な資源をもつヨウ素を原料とした有機ヨウ素化合物の製造プロセスに関するものであり、産業上重要なテーマである。
本研究開発ではマイクロ電解法によるヨウ素活性種生成技術とマイクロフロー法によるヨウ素活性種と有機化合物の選択的反応技術をそれぞれ確立し、有機ヨウ素化合物の安価で安全かつクリーンな製造プロセスを確立した。大学、日宝化学(株)、ダイソー(株)の強みを活かして種々の課題を段階的に解決し、技術はほぼ完成の域に達した。研究の各段階で目標を柔軟に変更して明確に設定し直し、成果を上げたことは評価できる。 事業化に関しては、中国企業の台頭により、開発したプロセスの価格的優位性が無くなりつつあったが、開発対象を事業性の高い高付加価値有機ヨウ素化合物の製造に展開したことにより、今後事業化が期待できる。特に付加価値の高い超原子価ヨウ素化合物の市場規模の拡大とともに、生産量の確保のために日宝化学(株)の設備投資が必要となった際,本技術が使われる可能性が高く,本プロジェクトは十分な成果を挙げたと評価できる。 開発の目的として十分達成できなかった収率改善、未達成に終わったヨウ素の回収再利用技術の開発を今後継続するとともに、研究を継続し、事業化を是非達成してもらいたい。 知財権確保に関しては、本育成期間中に特許3件を出願、うち1件が既に特許登録されており、事業化に必要な基本特許を出願している。今後、周辺特許の取得や差別化するための新規製造方法の出願に努めることを期待する。 |
課題名 | : | フレキシブル表示デバイス用TFTのための新規有機無機ハイブリッド材料の開発 |
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代表研究者 | : | 大阪市立工業研究所 電子材料研究部 研究主幹 松川 公洋 |
共同研究企業等 | : | 大阪府立大学、大阪府立産業技術総合研究所、積水化学工業(株)、扶桑化学工業(株)、大阪瓦斯(株)、シチズンホールディングス(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】構成層を塗布法で作成する電子ペーパーの製品化に向けたパッシベーション膜およびゲート絶縁膜を開発し、試作段階での製品化につながる要素技術開発は当初目標をほぼ達成しているといえる。ただし、実用としての製品化とその差別化のためには、一段の性能向上が必要であり、特に、製品の性能を大きく支配するモビリティの向上や安定性(信頼性)の評価など、基礎的研究を更に継続し、改善点などを明確にして、競合製品との明確な差別化が図れる方向の絞り込みが求められる。一方、本研究で開発さらたいくつかの技術や材料などの用途開発によって、本研究成果が活かされる方向性も示されており、派生的技術の事業化も期待される。 |
課題名 | : | スーパークリーンハイブリッドディーゼルのためのプラズマ複合排ガス処理装置の実用化 |
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代表研究者 | : | 大阪府立大学 大学院工学研究科 機械系専攻 機械工学分野教授 大久保 雅章 |
共同研究企業等 | : | 東京都市大学、(株)オーデン、ダイハツディーゼル(株)、(株)高尾鉄工所 |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】地球環境の視点からも非常に重要性の高いテーマであり、実用化が望まれる研究開発分野であったが、着実に開発が進められ、研究室プロトタイプで実用化のめどをたてるとともに、実プラントレベルでの実証試験にも成功し、その成果は十分に評価される。今後、上市に向けて、適用分野の絞り込みがなされ、その分野での開発課題を明確にした装置の開発や耐久性・安全性の向上などが望まれる。本研究期間でなされた技術開発成果は、実用性が高く評価される技術であり、技術が十分に活かされる分野における確実なビジネスモデルの構築が望まれる。 |
課題名 | : | 酸化亜鉛系薄膜成長用MOCVD装置の開発 |
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代表研究者 | : | 島根大学 総合理工学部 教授 藤田 恭久 |
共同研究企業等 | : | 古河機械金属(株)、日本パイオニクス(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】酸化亜鉛(ZnO)は次世代の発光ダイオード(LED)材料として期待されているが、工業的に量産可能な装置の開発は実現していない。そこで、本研究ではZnO単結晶薄膜を量産できる装置の開発を目指して、@高品質で均一性の優れたZnO系薄膜を安全に成長できる有機金属気相成長(MOCVD)装置を開発し、A成膜条件の検討により薄膜特性の性能アップを図ることを目標とした。@装置開発に関しては参画機関の連携も良く、順調に進み、研究開発用装置として販売が可能なレベルを実現できた。また、AZnO薄膜特性に関しても、P型特性のもう一歩の向上が望まれるが、N型特性は充分な成果が得られており、現時点で世界トップクラスのデータが得られている。LEDなどへの実用化への展開が強く期待されているので、共同研究企業に加えて電子デバイス関連企業との連携を構築した上での研究開発を今後も推進されることが望まれる。 |
課題名 | : | 血管病を原因とする生活習慣病新規診断薬の開発 |
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代表研究者 | : | 山口大学 大学院医学系研究科 教授 小林 誠 |
共同研究企業等 | : | 富士レビオ(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】血管の異常収縮の原因物質と考えられるスフィンゴシルフォスフォリルコリン(SPC)の髄液中濃度が血管病発症前から高くなることが見出され、このSPC量の測定によって突然死に繋がる血管病の発生が予測できる可能性があるとの前提で、本研究において、@血管病のリスク診断のために、SPC測定の臨床的意義を確立すると共に、A既存の検査機器に搭載可能なSPC測定薬を開発することを目指した。しかしながら、本研究では@質量分析法による微量なSPCの定量分析法を確立することはできたものの、インフォームドコンセント等の問題から検体の入手が思うように進まず、非発作時の血管攣縮性狭心症患者のSPC濃度測定を市販血清で小規模ながら行ったが、血清SPC濃度と狭心症の関係を明らかにできなかった。即ち、SPC測定の臨床的意義を確立するまでには至らなかった。また、A高感度で特異性の高い抗SPC抗体の作製を種々試み、知見の蓄積がなされた。しかしながら、SPCが低分子のためにハードルが高く、SPC測定薬を開発することができなかった。以上により、残念ながら目標未達成と判断せざるを得ない。 |
課題名 | : | 高速・ラビングフリー液晶表示材料の開発 |
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代表研究者 | : | 九州大学先導物質化学研究所 教授 菊池 裕嗣 |
共同研究企業等 | : | 福岡県工業技術センター 化学繊維研究所、チッソ石油化学(株)、日油(株)、(株)正興電機製作所、(株)日立製作所、セイコーエプソン(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】共同研究企業の(株)正興電機製作所やチッソ石油化学(株)が事業化を検討しており、それが実現することを期待したい。特に光散乱制御モード表示では、今後の企業化に発展する成果が得られているとみなされるが、複屈折制御モード材料は未達成の部分を抱えているので、企業内開発研究の重点化やJST研究開発資源活用型に採択されることを期待する。
本プロジェクトおよび韓国の競争相手(サムスン)の特許内容の精査が必要である。その調査結果によっては、サムスンとの共同開発も視野に入れても良いと考えられる。 |
課題名 | : | 生体に学ぶ:骨置換材の創製 |
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代表研究者 | : | 九州大学 大学院歯学研究院 教授 石川 邦夫 |
共同研究企業等 | : | 秋田大学、徳島大学、福岡歯科大学、(株)ジーシー、(株)ニューライム |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】強度向上に関する課題を残しているが、適用部位を考慮すれば、炭酸アパタイトの製法・評価は実用化に対応する段階に到達している。また、平成21年度以降の委託開発が決定しており、育成研究として十分に目標が達成されたものと判断される。
ただし、市場性など、最終的に医療用材料として、実用化されるまでには検討すべき項目があると思われる。例えば、強度についても、今後の粒子性状の改良や他の生分解性素材との併用など、改良の余地があると考えられる。 |
課題名 | : | 酸化亜鉛系半導体発光デバイスの開発 |
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代表研究者 | : | 岩手大学名誉教授 地域連携推進センター産学官連携教員 柏葉 安兵衛 |
共同研究企業等 | : | シチズン東北(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】独自に開発したプラズマアシスト反応性蒸着法を用いて、高純度p型ZnO-pnホモ接合LEDの作成に成功し、酸化亜鉛系半導体の励起子発光(375nm)を初めて確認できた意義は大きい。実用化に向けて紫外線の外部取り出しの構造や膜構成など新たな課題が明確になっているが、低炭素化社会に向けて有望なシーズとして期待される。 |
課題名 | : | 高品質As-grownMgB2膜を利用した高感度磁気センサ及び高周波フィルタ素子の開発 |
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代表研究者 | : | 岩手大学 大学院工学研究科 フロンティア材料機能工学専攻 教授 吉澤 正人 |
共同研究企業等 | : | 山形大学、岩手県工業技術センター、(株)岩手情報システム |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】基本的な開発要素であるMgB2(二ホウ化マグネシウム)の開発とナノ加工に成功し、超伝導量子干渉素子(SQUID)超高感度磁気センサに関しては冷凍機動作での超伝導磁気センサによる心磁計測、高周波フィルタに関しては1/10サイズの小型化が出来たことは評価できる。磁気センサの感度や高周波フィルタの小型化の最終目標に到達出来てはいないが、平坦度が高く高精度の薄膜生産技術や磁気センサの開発で培ったナノブリッジ・SIS・SNSデバイスの加工技術、冷凍機の磁気ノイズ低減技術及び磁気シールドルームレス化のための制御技術など数々の要素技術とノウハウが得られた意義は大きい。 |
課題名 | : | ナノ加工技術を応用した超高速クロック素子の開発 |
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代表研究者 | : | 新潟大学 地域共同研究センター 准教授 川ア 一正 |
共同研究企業等 | : | 東京工業大学精密工学研究所、新潟県工業技術総合研究所、福井大学、 シンコー電気(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】面発光素子(VCSEL)と精密金型加工技術により作製される外部反射鏡にて共振系を構成する超高速クロック素子の開発と、その周波数を40 GHzに高め、かつアレイ化による量産化を視野に入れた挑戦的な課題であった。金型加工技術としては形状誤差600 nmにて加工する技術、モード同期では39 GHzの光学スペクトルを確認したこと、および研究開発過程において二往復共振モードを発見した点は評価できる。また、アレイ化に対する検討を行ったが、解決を要する技術課題が多く見出される結果となった。本素子の実用化には時間を要することが予想されるため、まずは今回の研究にて得られた金型加工技術を他へ展開することを期待したい。 |
課題名 | : | 金型の型彫りおよび鏡面仕上げ加工のための超音波振動援用研削スピンドルの実用化 |
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代表研究者 | : | 長岡技術科学大学 機械系 教授 田辺 郁男 |
共同研究企業等 | : | 長野工業高等専門学校、一関工業高等専門学校、サンアロー(株)、 ユニオンツール(株)、(株)岳将 |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】新しい超音波振動スピンドルを開発し、汎用のマシニングセンタに搭載し、金型の鏡面仕上げ加工を検討した結果、透明度の高いプラスチック射出成型品が得られた点は評価できる。さらにダイヤモンド電着工具と超音波援用加工に適した工具調整法を検討した。スピンドル単体、および加工システムとしての実用化の目途が立った。 |
課題名 | : | 固体発光性色素を活用した農園芸用波長変換被覆資材の開発 |
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代表研究者 | : | 高知大学 理学部 教授 吉田 勝平 |
共同研究企業等 | : | 大阪市立工業研究所、ナルックス(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】有機構造化学の基礎を踏まえた実用化研究であり、独創的であると評価できる。農園芸用資材開発は研究実施期間中の適切な方向性の見直しにより、ラン植物の栽培初期に対する波長変換の有効性を示す植物組織培養用資材のプロトタイプの作成に至ったことが評価できる。農園芸用資材の事業化には、色素製造とフィルム製造の企業が参画する必要があるので、企業を新たに加えて共同研究を進める必要がある。そのためには、残された多くの課題を解決する技術と市場を総合的に評価し、事業化の方策を再構築することが必要と考えられる。 |
課題名 | : | 柚子搾汁後残滓のエココンシャスな精油抽出・処理技術の開発 |
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代表研究者 | : | 高知大学 農学部 教授 沢村 正義 |
共同研究企業等 | : | 高知工科大学、高知工業高等専門学校、(株)エコロギー四万十、四電エンジニアリング(株)、(株)四電技術コンサルタント |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】柚子搾汁残滓の有効利用研究により、精油抽出技術の開発に加え、環境保全を研究範疇に含めた視点とその結果の達成度は高いと評価できる。本研究成果を基に、装置や手法を最適化し、再現性良く高収率に精油を生産する技術が確立されれば、事業化へ向けて大きく前進すると考えられる。さらに、アロマテラピーや食品分野での香料としての商品価値をどの程度高めることができるかによって、今後の事業展開が大きく左右するので、さらなる研究開発の進展を期待する。 |
課題名 | : | 主要花き類の花色遺伝子型による花色育種法の開発 |
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代表研究者 | : | 鹿児島大学 農学部 准教授 橋本 文雄 |
共同研究企業等 | : | (株)サントリーフラワーズ |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】研究は着実に実施され、観賞用切り花のトルコギキョウ、スイートピーなどについて、代表研究者が開発した「花色遺伝型交配法」を用いることで、少なくとも十年の歳月を要するといわれていた新花色が、半年から一年で作出可能となり、育種年限の大幅な短縮と開花後の花色を早期に予測できる技術の確立に成功した。 また、5つの複対立遺伝子の機能やそれらの本体も明らかにし、科学的根拠を明確したことは高く評価でき、支援事業としての成功例といえる。 企業化に向けての企業との連携による実用化検討をより一層進め、商品化を進めるための戦略を検討願いたい。今後の企業化の進展を期待したい。 |
課題名 | : | ゴーヤ種子由来抗H レクチンを用いた血液検査試薬の開発と新規医薬品への応用 |
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代表研究者 | : | 宮崎大学 フロンティア科学実験総合センター 教授 明石 良 |
共同研究企業等 | : | 富士化学(株)、OKIセミコンダクタ宮崎(株) |
研究期間 | : | 平成18年4月〜平成21年3月(平成17年度採択) |
【総評】ゴーヤ種子から直接 抗H活性(ヒト赤血球の凝集能力)を持つレクチンが抽出できており、血液型判定試薬として商品化に結び付いている。今後は、抗H型検査薬として糖鎖解析の重要なツールとして、また新規医療用材料としての展開が期待される。現状は、用途が限られているので、市場規模を見据えた事業化戦略を明確にされることを期待する。
なお、タバコBY2細胞を用いたレクチン大量発現系の研究は、他の遺伝子発現系開発にも期待が持てることから、さらなる事業の成長が見込める。 |
プラザ・サテライト | 氏名 | 所属 |
プラザ北海道 | 大味 一夫 | JSTイノベーションプラザ北海道 館長 |
プラザ宮城 | 伊藤 弘昌 | JSTイノベーションプラザ宮城 館長 |
プラザ石川 | 三谷 忠興 | JSTイノベーションプラザ石川 館長 |
プラザ東海 | 浅井 滋生 | JSTイノベーションプラザ東海 館長 |
プラザ京都 | 松波 弘之 | JSTイノベーションプラザ京都 館長 |
プラザ大阪 | 村井 眞二 | JSTイノベーションプラザ大阪 館長 |
プラザ広島 | 佐々木 博司 | JSTイノベーションプラザ広島 館長 |
プラザ福岡 | 持田 勲 | JSTイノベーションプラザ福岡 館長 |
サテライト岩手 | 平山 健一 | JSTイノベーションサテライト岩手 館長 |
サテライト新潟 | 花木 真一 | JSTイノベーションサテライト新潟 館長 |
サテライト高知 | 細川 隆弘 | JSTイノベーションサテライト高知 館長 |
サテライト宮崎 | 黒澤 宏 | JSTイノベーションサテライト宮崎 館長 |