(1) |
北海道
連 携 拠 点 機 関 | : |
財団法人 北海道科学技術総合振興センター |
科学技術コーディネータ | : |
丸山 敏彦(代表)、齋藤 善一 |
事 業 実 施 期 間 | : |
平成11年度~平成15年度 |
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大学等との連携状況
連携拠点機関を中心とした広域ネットワーク型コーディネート活動やアドバイザーの配置により、他地域に比べ広大なエリアをカバーした努力は評価できる。しかし、収集したニーズに適用できるシーズを探すという手法を採用したため、優れた技術のシーズを新たに発掘する努力及びそのためのシステム構築の視点が弱くなり、大学との連携も緊密とは言えない。今後、北海道大学等との連携の強化によるシーズ活用を期待する。 |
事業の成果及び波及効果
育成試験34件に対し、地域の特色である「食品」の割合が15件と重点化されて取り組まれており、のべ93の大学や企業等、多くの機関が参画している。また、実用化を進めていく上で有機質分解鉄触媒利用技術等のコアとなる技術を絞り込み、システム化及び統合化を推進したことは今後の展開にとって戦略的に優れている。しかし、シーズ・ニーズの蓄積、育成試験数、特許の出願件数等は十分とは言えないので、今後は、コア技術の活用による相乗的な波及効果を期待する。 |
研究成果の実用化・企業化の状況及び諸事業への橋渡し実績
実用化・商品化に至った件数は9件とまだ多数とは言えないものの、商品化した総売上げが、9億円に達することは評価できる。食品系、海農産物系が大きな売上げにつながっており、地域の資源を活かした活動となっている。しかし、他事業への橋渡しは14件と多くないので、今後は、コア技術の活用により、実用化に向けた活動を期待する。 |
今後の展開の見通し
コア・コーディネータの設置などコーディネート機能の強化・充実が予定されており、RSP事業の一定の継続性は期待できるが、重点を置いた「食と健康」・「環境」以外の分野に対する展望が見えない。また、「リサーチ&ビジネスパーク構想」など壮大な構想もあるが、RSP事業の具体的な発展策が不明確であるので、今後は、具体的な展開を明確にした行政の指導力を期待する。 |
総合評価
地域の特色を強く意識し、連携拠点機関を中心としたネットワークを活用することにより、「食品」の商品化に一定の成果を上げたが、商品化・橋渡し件数など成果としては十分とは言えない。今後、コア技術群の活用による実用化に向けた活動の継続及び行政によりRSP事業の継続性を明確に位置づけられた「リサーチ&ビジネスパーク構想」の推進を期待する。
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(2) |
愛知県
連 携 拠 点 機 関 | : |
財団法人 科学技術交流財団 |
科学技術コーディネータ | : |
小坂 岑雄(代表)、鈴木 勝也、瀬野 義隆、松吉 恭裕 |
事 業 実 施 期 間 | : |
平成11年度~平成15年度 |
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大学等との連携状況
中堅・中小企業の自主技術育成に主眼を置き、コーディネータが企業現場にまで入り込む活動をして、地元企業と大学との密接な関係を構築したことは評価できる。しかし、代表科学技術コーディネータ個人の力に依存している部分が大きいので、組織的な手法を構築して、愛知県の特徴を出すことが望まれる。 |
事業の成果及び波及効果
中小企業をターゲットにしてニーズ調査を行った上で、多くの大学や企業等から課題を選考し、32件の育成試験を実施したことは妥当である。県内の自動車産業がカバーしていない領域である医療、健康関係の育成試験が多く実施されており、コーディネート活動の意義が示せたことも評価できる。今後も、ニーズ調査の継続とそのデータベース化を進め、ニーズ情報の活用を促進することが望まれる。 |
研究成果の実用化・企業化の状況及び諸事業への橋渡し実績
13件の特許出願件数は少ないが、企業のニーズを調査して、28件の諸事業への橋渡しが行われており、育成試験の結果が実用化に向かって着実に動いていることは評価できる。今後は、育成試験のフォローアップを引き続き行い、実用化がさらに促進されることを期待する。 |
今後の見通し
RSP事業終了後も、愛知県として育成試験費の予算を措置し、連携拠点機関である(財)科学技術交流財団に新しいコーディネータ1名を配置するなど、今後の展開に期待できる。今後は、実用化を促進するために、中小企業との連携をさらに強化することを期待する。 |
総合評価
事業的センスをもったコーディネータにより、大変バランスのとれた活動がなされており、特に中小企業と大学の連携が推進されたことは大きな成果であると評価できる。今後は、県の支援により(財)科学技術交流財団を中心としてコーディネート活動が継承され、大きな産業につながる活動が行われることを期待する。
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(3) |
大阪府
連 携 拠 点 機 関 | : |
財団法人 大阪科学技術センター |
科学技術コーディネータ | : |
高田 進(代表)、足立 理一、阿部 敏郎 |
事 業 実 施 期 間 | : |
平成11年度~平成15年度 |
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大学等との連携状況
コーディネータが、中小企業を中心に事業化に貢献し実績を示した事や、学長・学部長等で構成される会議や協議会を設立し、定期的に開催した事は評価できる。しかし、大阪府には元来ポテンシャルの高い大学が多く、かつ産学官の強いネットワークがあり、連携の基盤が既に存在していた事を考えると、RSP事業による新たなネットワークの構築などの効果が明確に見えてこない。今後は地域のポテンシャルを充分に活かした新たな展開を期待する。 |
事業の成果及び波及効果
62件という育成試験の実施件数は多く、大学の研究者に良い刺激を与えたと思われる。しかし、育成試験の内容はシーズ指向が強い傾向があり、実用化から遠いものが多い。また、実用化の規模の点でも、地域のポテンシャルを考慮すると、成果がやや小粒であると思われる。今後は、大阪の特色を出せるような中小企業のニーズの取り込みや絞り込みを行って、波及効果が現れるような活動を行うことが望まれる。 |
研究成果の実用化・企業化の状況及び諸事業への橋渡し実績
実用化や商品化の具体的な成果も出ているが、その件数や規模は中程度であり、産業化という観点ではあまり成果が出ていない。また、育成試験の成果としての特許出願件数も17件と十分とはいえない。今後は、行政における積極的、具体的な支援や戦略を充実して、産業化に向けた取り組みが強化されることに期待する。 |
今後の見通し
(財)大阪科学技術センターを核とした産学官連携のプロジェクトや、大阪府科学技術推進戦略(仮称)の策定などによる中小企業の活力再生に向けた取り組みが具体化している点は評価できる。しかし、今後のコーディネート活動に対する明確な予算措置が見えず、大阪TLOや研究成果活用プラザ大阪に頼る傾向が見られる。RSP事業の成果をどのように展開し活用するか明確にし、コーディネータの育成や大学・企業との連携体制の強化を含めて今後の展開を期待する。 |
総合評価
研究成果育成型からスタートしたRSP事業としては、研究シーズの実用化を目指すコーディネートの形が示され、順調に進展し実績も出てきている。成果の展開等に関しては、地域の持つポテンシャルに比べて、やや不足している。今後は、構築されたデータベースの維持・管理のための予算措置等を含めた大阪府の支援や、大阪市との連携により、地域のポテンシャルを生かした発展が図られることを望む。
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(4) |
広島県
連 携 拠 点 機 関 | : |
財団法人 ひろしま産業振興機構 |
科学技術コーディネータ | : |
秋山 巖(代表)、森下 強、島筒 博章 |
事 業 実 施 期 間 | : |
平成11年度~平成15年度 |
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大学等との連携状況
科学技術コーディネータが、広島大学地域共同研究センターの客員研究員(技術移転担当)として活動し、効率的な協力体制が形成された結果、学生までも含めた特許に対する意識改革や特許出願に貢献するなど、広島大学と一体的に活動した事は評価できる。
広島大学を核とした連携が形成され、本事業の目的を十分に達成していると評価できるが、今後は、県内他大学や企業等との連携の広がりを期待する。 |
事業の成果及び波及効果
大学に軸足を置くというコーディネータの方針の下に、コーディネート活動が有機的に広がった結果としての47件の育成試験は評価できる。また、特許出願についても、106件という件数の多さのみならず、研究者の権利化意識の変化といった大学内に知的財産に対する認識が醸成された波及効果は極めて高い。今後は、将来の特許戦略を明確にし、ニーズ情報を的確に把握することが望まれる。 |
研究成果の実用化・企業化の状況及び諸事業への橋渡し実績
ほとんどの育成試験での成果として特許出願がされており、事業化を前提とした取り組みとして評価できる。
連携拠点機関である(財)ひろしま産業振興機構内の広島TLO設立は、RSP事業による貢献が大きく、このTLOの発展が今後の実用化や企業化の鍵を握っているので成長に期待する。 |
今後の見通し
広島大学や研究成果活用プラザ広島等と連携し、広島TLOにより技術移転を図るなど方針が明確であり、RSP事業の実績を踏まえた展開が期待できる。今後は、既存の重工業にとらわれず様々な中小企業との連携を図るような、広島TLOを中心とした広島県域での戦略的活動に期待する。 |
総合評価
全体的に着実な進行がなされており、事業期間中から県及び連携拠点機関が予算措置することにより、広島TLO設立等のRSP事業を引き継ぐ動きが見られ発展性が期待される。
今後は、企業ニーズの把握と企業との連携の広がりにも期待する。
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(5) |
福岡県
連 携 拠 点 機 関 | : |
財団法人 福岡県産業・科学技術振興財団 |
科学技術コーディネータ | : |
齋藤 省吾(代表)、水町 浩、中野 宣邦、片多 正明 |
事 業 実 施 期 間 | : |
平成11年度~平成15年度 |
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大学等との連携状況
県域を越えた連携という明確な視点を持ち、大学等の若手研究者を主要な対象とした質の高いシーズ把握活動は評価できる。しかし、シーズ発掘に際しての組織的な取り組みが十分とはいえないので、今後は、シーズを発掘する核となる体制を構築し、大学等との更なる連携の緊密化を期待する。 |
事業の成果及び波及効果
代表科学技術コーディネータの強力なリーダーシップの下に、育成試験69件、人材情報データベース登録5000件余りとの活動実績は評価でき、今後の成果に繋がっていくことも十分期待できる。しかし、地域の中小企業のニーズ把握が不十分であるので、今後は、地域に密着した活動を行い、地域企業による商品化や企業化が図られることを期待する。 |
研究成果の実用化・企業化の状況及び諸事業への橋渡し実績
商品化等30件、諸事業への橋渡し52件と研究成果の実用化・企業化の着実な実績を上げており、事業化を意識した取り組み姿勢は評価できる。しかし、育成試験の成果としての特許出願19件は少なく、権利化の強化が望まれる。 |
今後の展開の見通し
県がRSP事業終了後の措置を早期に準備し、マッチング・コーディネート事業などを立ち上げていることは評価できる。今後は企業ニーズをよく把握した産業界出身のマッチング・コーディネータが、育成試験等の活動を行うため、一層の実用化・企業化の展開が期待できる。また、コーディネータの養成にも尽力しているので、その継続にも期待する。 |
総合評価
代表科学技術コーディネータの強力なリーダーシップの下に、県域を越えた連携という特徴ある活動により、多数の成果を上げている。しかし、地域産業への貢献という点では十分でないので、地域ニーズの発掘を更に充実させることが望まれる。また、RSP事業終了後の県の措置を活用し一層の実用化や企業化を図ると共に、RSP事業のコーディネータの経験が県のマッチング・コーディネータに継承されることを期待する。 |
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