ALCA公開シンポジウム
開催報告:ALCAシンポジウム「将来の低炭素技術におけるALCAの役割」

「ゲームチェンジング・テクノロジー」の創出により、低炭素社会実現を目指している、先端的低炭素化技術開発(ALCA)。
ALCAは発足6年目を迎えました。昨冬のCOP21開催など地球温暖化対策に向けた世界的な気運が再び高揚する中、これまでのALCAの取り組みや成果を広く知ってもらうため初めての公開シンポジウムを、6月30日に横浜で開催しました。
基調講演では橋本和仁プログラムディレクター(PD)が「我が国のエネルギー環境戦略におけるALCAの位置づけ」と題し、COP21において日本が国際的に約束したCO2排出削減目標は、現状の技術の延長線上では達成できないこと、ゲームチェンジング・テクノロジーを生み出すALCAの重要性やステージゲート評価を初めとするALCAのユニークな取り組みについて強調しました。
第一部のALCA成果紹介では、首都大学東京金村聖志教授が、ALCA主力技術分野である次世代蓄電池の研究は世界のトップレベルではなく「トップ」であることを強調しました。また、大阪大学森勇介教授は、ALCAでの厳しいステージゲート評価制度で「頭と心が鍛えられ」、独自の手法で大口径・高品位な窒化ガリウム結晶成長のブレークスルーを果たしたことを報告しました。
続く第二部では「社会に向けたALCAへの期待」と題してパネルディスカッションが行われました。今年3月にALCA国際評価委員長を務めた池上徹彦元会津大学長は、世界との連携や女性研究者の拡大が課題と指摘しました。同じく国際評価委員でCOP21にも参加した本部和彦東京大学教授は、CO2削減効果を上げるためにはALCAで生み出されるモノやサービスは多くの人が利用しなければならず、そのためには低価格である必要があると指摘しました。これに対して橋本PDは、ALCAを運営する上で国際的な競争の激しさ、女性応募者の比率の低さ、また企業収益とのバランスといった難しさがあると回答しました。
総じて、橋本PDの情熱が会場に伝わり、“橋本ALCA”を強く印象づけることができたという意味で主催者の狙いも十分に達成できました。
1. 開催概要

リーフレットのダウンロードはこちら(PDF:1.3MB)
- 日時: 平成28年6月30日(木) 10:00~12:00
- 会場: パシフィコ横浜アネックスホールF206
※第11回再生可能エネルギー世界展示会(6/29-7/1)のフォーラムの一つとして開催
http://www.renewableenergy.jp/2016/forum_detail.html#RE6 - 参加費:無料
2.シンポジウムタイトル
「将来の低炭素技術におけるALCAの役割」
3.次第
10:00~10:05 | 開会挨拶 | 古賀 明嗣 JST環境エネルギー研究開発推進部長 |
10:05~10:10 | ご挨拶 | 文部科学省 |
10:10~10:40 | 基調講演 「我が国のエネルギー環境戦略におけるALCAの位置づけ」 |
橋本和仁ALCA-PD |
10:40~10:55 | 第一部 ALCA成果紹介 | 次世代蓄電池 金村聖志 首都大学東京教授 |
10:55~11:10 | 第一部 ALCA成果紹介 | 高品質・大口径GaN結晶の育成 森 勇介 大阪大学教授 |
11:10~11:55 | 第二部 パネルディスカッション 「低炭素化社会に向けたALCAへの期待」 |
司会:橋本和仁ALCA-PD パネリスト: 池上徹彦氏、本部和彦氏、 魚崎浩平ALCA-PO、森 勇介教授 |
11:55~12:00 | 閉会挨拶 | 白木澤 佳子 JST 理事 |