研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
インタビュー〜平成30年度追跡調査より

A-STEPを経て産学官連携体制が充実、社会課題に挑戦
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)  シーズ育成タイプ
研究開発課題名 軽量で柔軟な装着型歩行アシストスーツに関する研究(開発期間:平成24年10月〜平成27年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 東海ゴム工業株式会社(現 住友理工株式会社) 研究者 山本 元司(九州大学)

A-STEPでの研究開発成果として複数の特許、意匠を取得して目標とした歩行アシストスーツの製品化を達成。さらに係る産学共同開発を嚆矢として、住友理工、九州大学、福岡県糸島市の三者協定を締結、「健康」「医療」「介護」に関する技術開発による新産業の創出や地域福祉の向上等に係る協働を深化させている。

A-STEPにて成果を上げられた背景、その後の技術開発状況などについてプロジェクトリーダーを継承された武田様にお話しを伺いました。

プロジェクトリーダー(現在)近影
プロジェクトリーダー(現在)
住友理工株式会社
新事業開発センター 新製品開発室
担当部長 武田 昌彦 氏
A-STEPに申請、採択されるまで

東海ゴム株式会社(現:住友理工株式会社、以下、「住友理工」)と九州大学の山本元司先生の共同研究は、平成18年、住友理工と九州大学の組織対応型連携研究としてスタートした。後の一連の産学官連携の端緒となる「歩行アシストスーツ」の着想は、住友理工が有するスマートラバー技術(柔軟なゴムセンサー技術)とロボット工学の研究者である山本先生の知見が融合して得られたが、その本格的な社会実装には想定される利用者の参画、検証環境の構築、そして行政のバックアップが不可欠。その体制整備を含めた研究開発計画を以て平成24年A-STEPに申請、採択された。

誰のための研究開発か

凡そ研究開発者は条件が揃えば「モノは作ってしまう」。しかし、それが直ちに誰かを幸福にすることは滅多にない。産学連携での開発でしばしば見られる陥穽である。
武田氏は「誰が使うのか」という視点を拳々服膺することの重要性を強調する。彼らの歩行アシストスーツのコンセプトは利用者の歩行能力維持。現在、糸島市と密接に連携し、1,000人規模の住民の参画を得て普遍的な社会課題となっている高齢者のQOL向上という観点での評価が進んでいる。更にはフレイル(要介護状態の前段症状)予防のための疫学的研究の先鞭をつけるに至っている。

フレイル予防事業確立への挑戦

A-STEPにて歩行アシストスーツの開発という所期の目標は達したものの、ビジネスとして成立するかが最も重要である。同技術の展開に止まらず、今や普遍的な社会問題でもあるフレイル予防事業の確立に照準を定める。現在、福岡県糸島市が健康福祉センター内に拠点を提供し、九州大学支援の下、住友理工の開発者が常駐し産学官連携活動拠点を運営、これを更に発展させて他業種企業連携による地域包括ケアシステムの創出を目指している。超高齢社会を迎え、その成功によりもたらされ得る社会的・経済的効果は言わずもがなであろう。
本取組は、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成のための我が国の取組方針にも資する。政府が目指す日本ならではの「SDGsモデル」構築に向けて、武田氏らの「いとしまモデル」の寄与が期待される。



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