研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
復興作業の負担軽減に資するZ型ショベル
キーワード :  作業強度、酸素摂取量、生体力学、最大相当応力、ショベル
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 西日本豪雨復興支援(機能検証フェーズ)
研究開発課題名 人手による復興作業の負担軽減に資する作業用具の提案(開発期間:平成30年12月~令和元年12月)
ニーズ元企業名 浅香工業株式会社 研究者 吉成 哲(室蘭工業大学)

豪雨災害からの復興作業では、ショベル等の用具を用いた人手による土砂等の搬出が欠かせない。そのため、土木作業用のショベルが用いられているが、用具重量や作業時の前屈姿勢等による作業負担が問題となっていた。そこで、従来型と同等以下の重さで必要強度を満たすと共に、従来型比1割低い作業強度で同程度の作業成績が得られることを目標とし、材料や形状を検討した試作品を製作した。試作品を用いた模擬作業中の酸素摂取量は従来型比で13%低くなり、作業負担軽減効果を確認できた。令和2年9月には、薩摩川内市とJST、室蘭工業大学の3者による「Z型復興ショベルの実証に係る相互連携及び協力に関する連携協定」を締結し、市内にて復興作業や土木作業等での実証が行われた。その結果を製品形状にフィードバックしている。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

土砂災害現場では人手に頼らざるを得ない場面が多く、またボランティア頼みというケースも多い。こうした中、作業用具が変わるだけで作業負担が軽減されることは、作業安全に資すると共に復興作業が迅速に進むことが期待される。そのため、災害時の緊急対応に備え、各地域の拠点等に備蓄されることが望まれる。このほか、既存の土木用スコップで行っている作業にも負担軽減をもたらすことができると考えている。また降雪地域では除雪用具としても認知されはじめており、販売店での取り扱いも増えてきている。

開発者の声

本研究開発には、JST、室蘭工業大学、北海道立総合研究機構、浅香工業株式会社、薩摩川内市など多くの関係者が寄与した。産学官がそれぞれの役割を果たし、密接な連携を取ることで製品化につながった。A-STEP事業により、プロジェクトが円滑に進められたことに感謝申し上げる。
この成果は、下記のプレスリリースとして発表されています。
●「Z型復興シャベルの実証に関する連携協定」の概要について[2020年9月](薩摩川内市、室蘭工大、JSTの共同プレス)
●「Z型ショベルパンチャー角」の製品化について[2021年6月](室蘭工大、道総研、浅香工業、JSTの共同プレス)
この成果は、以下のメディアにて紹介されました。
●北大R&BPニュース:2021年8月3日「【お知らせ】「Z型ショベルパンチャー角」の製品化について」
●薩摩川内市(市長の活動報告):2021年7月14日「【お知らせ】「令和3年7月14日 『Z型ショベルパンチャー角』の寄贈」
この成果は、以下を受賞しています。
●北海道福祉のまちづくり表彰(2021年度)
●北海道新技術・新商品開発賞ものづくり部門優秀賞(2021年度)


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