研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ICT・電子デバイス
製品化/起業
セラミックスからゲルまでの力学物性を精密に測る顕微インデンターを開発
キーワード :  機械的特性、弾性、弾塑性、粘弾性、表面張力、セラミックス、ソフトマター、インデンテーション、圧子圧入
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 産業ニーズ対応タイプ
研究開発課題名 レイヤード結晶シェルによる“単一結晶面粒子”の創製とその超精密機能化(開発期間:平成28年12月~令和3年3月)
製品化企業名 インデント・プローブ・テクノロジー株式会社 研究者 永田 夫久江(産業技術総合研究所)

産総研 宮島達也主任研究員が開発した顕微インデンターは、透光性セラミックスの力学特性と光学特性の両特性を活用し、透明圧子に光を透過させる原理で圧子圧入中の「接触現場」をその場観察できる装置である。複雑な変形挙動を示す弾塑性体や粘弾性体であっても、表面変形を伴う接触面積を光学顕微鏡で直接計測でき、各種力学物性(ヤング率、降伏値、硬度など)を厳密な解析式で正確に評価できる新しい計測ツールとして、技術テーマ「セラミックスの高機能化と製造プロセス革新」の中で完成させた。顕微インデンターは、負荷荷重(もしくは接触面積)を制御しながら、接触面積(もしくは荷重)の時間変化を測定することで、高分子ゲルなどの時間依存型材料のクリープ特性や応力緩和特性も評価できる。さらに、付着力を有する生体材料やソフトマターの表面張力(表面エネルギー)や弾性率などの精密計測にも成功した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

計装化インデンテーション法はミクロ・ナノ領域における新しい評価法として普及してきた。しかし、従来法は接触面積を直接的に計測することはできず、押し込み深さhから間接的に換算する近似解析に依存しているため、測定精度や原理の明解さが欠如していた。顕微インデンターは、これらの課題を克服すると共に、計測の迅速性に優れることから、マテリアルズ・インフォマティクス実現を支える技術として期待される。

開発者の声

顕微インデンターの技術をCAEやMI実現などの社会ニーズに対応すべく、インデント・プローブ・テクノロジー(株)を起業し、装置販売、受託計測、技術コンサルティングを実施している。さまざまな新素材の力学物性を迅速かつ高精度にデータ化可能な計測ツールとして社会に貢献したい。
この成果は、インデント・プローブ・テクノロジー(株)からプレスリリースとして発表されています。
●顕微インデンテーション技術を実用化したベンチャーの創業~生体材料・医用材料のミクロ領域の力学物性評価技術を事業化[2017年11月]
この成果の一部は、英科学雑誌natureにおいて紹介されています。
●Pushing through the blind spots of micromechanical testing[2021年6月]

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