研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ICT・電子デバイス
プロトタイプ
指先の繊細な感覚を可視化・計測できる高解像度触覚センシングシステム
キーワード :  手触り感、高分解能触覚、触覚センシング、指先感覚、可視化、VR技術、DX化、半導体センサ、MEMS
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 産学共同(育成型)
研究開発課題名 指先の繊細な感覚を再現する高解像度触覚デバイスの実用システム開発(開発期間:令和2年12月~令和5年3月)
研究者 高尾 英邦(香川大学)

私達の指先は掴む力を感じる「力覚」と触覚の質感を得る「なぞり触覚」を備えているが、今日実用化されているセンサのほとんどは「力覚センサ」である。我々が「手触り」を感じる際には各指紋で1μm以下の微細な凹凸を感じ、同時に10μN前後の摩擦力の違いをも正確に感じていることから、従来の力覚センサで「手触り感」を正確にセンシングすることは不可能である。
本技術は半導体集積化技術を用い、人間の指先が持つ精緻な指紋構造と触覚受容器の機能を模倣する独自の原理による高分解能触覚センサを実現している。この指先を上回る感度と空間解像度を持つ緻密な指紋アレイ型センサを搭載し、計測する対象上を自在に走査可能なスキャナー装置に実現した。触覚の検出精度は凹凸分解能42nm以下、摩擦力感度7μN以下、空間分解能100nmの比類なき性能を達成し、指先以上の鋭い能力で手触り感を知覚することに世界で初めて成功した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

香川大学からタッチエンス(株)へのライセンス供与により、第一世代のナノ触覚技術は2022年に「ショッカクプローブ」として上市化され、新たに手触り感センシングの市場が誕生した。手触り感のDX化は、医療・福祉・美容・モノづくり分野に大きな技術的革新をもたらす。また、繊細な手触り感を記録・伝達するための新技術として仮想空間やコミュニケーションの市場においても一層重要性を増すと予想される。

開発者の声

A-STEPでは、CRESTから得た最新の研究成果を実用化につなげるべく、センシング性能の限界とデバイスの安定性を両立可能とする技術開発を推進した。その結果、指先以上に鋭くも様々な対象を測ることのできる新たな触覚技術が誕生し、これまでに想定されなかった新しい応用分野と市場の開 拓へと結び付くことが期待されている。
この成果は、文部科学省「令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において「科学技術賞 研究部門」を受賞しました。
●香川大学:文部科学省「令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において 高尾英邦教授が「科学技術賞 研究部門」を受賞しました[2023年4月]
この成果は、CEATEC2023国際展示会において「CEATEC AWARD2023 デバイス部門グランプリ」を受賞しました。
●CEATEC AWARD 2023 各部門グランプリ発表[2023年10月]


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