研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
機能材料
プロトタイプ
メタンガスを効率よく吸着貯蔵できる多孔性材料
キーワード :  多孔性配位高分子、金属有機構造体、多孔性有機高分子、MOF、PCP、POP、物理吸着、分子設計
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 産学共同(本格型)
研究開発課題名 多孔性配位高分子を用いた高性能メタン吸着材料の開発(開発期間:令和2年12月~令和5年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社Atomis 研究者 北川 進(京都大学)

メタンガスは高圧下でも液化せず、LPGのような液化ガスとは異なり、ガス配管でしか輸送できないという欠点があった。一方、メタンガスを主成分とする天然ガスの埋蔵量は多く、生ごみや牛糞等から新たに環境に優しいエネルギーガスとしてバイオメタンガスが生産されている。
我々は京都大学発の新素材、多孔性配位高分子PCPの技術を基盤としてLNGに匹敵するエネルギー密度で貯蔵できるメタン吸着材の開発を行った。in silico分子設計をベースにGCMC、DFTシミュレーションを駆使して候補化合物を絞り、実現可能な材料を網羅的に合成、評価することにより、世界最高性能に匹敵する吸着材を見出すことに成功した。更には実用性(コスト、量産性、耐久性)を加味した候補化合物を選定し、現在、次世代高圧ガス容器CubiTan PLUSの天然ガス吸着材としてインドネシアにて実証試験を行っている。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

灯油やプロパンガスを家庭用エネルギーガスとして広く利用しているASEAN諸国で、ガスパイプラインを整備することなく天然ガス・バイオガスを効率良く利活用することが可能となり、各国のエネルギー安全保障の強化並びに低炭素社会の実現に貢献できる。

開発者の声

素材の研究開発には多大なる投資が必要であり、A-STEPがこの部分の解決に一役を担って頂いた。メタンガス吸着剤を網羅的に設計評価し、高性能な吸着剤を開発することに繋がった。ここで培った設計及び評価手法はメタンガスのみならず他のガス種(二酸化炭素や水素等)に対しても適応でき、持続可能な社会の実現に貢献できると考えている。


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