研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
プロトタイプ
プラズモンセンサを用いた超高感度表面・界面分析用表面増強ラマン顕微鏡の開発
キーワード :  表面増強ラマン顕微鏡、埋もれた界面、ナノレベル化学構造、オペランド測定、温度計測、化学反応
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 産学共同(本格型)
研究開発課題名 プラズモンセンサを用いた超高感度表面・界面分析用表面増強ラマン顕微鏡の開発(開発期間:令和2年12月~令和6年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社東京インスツルメンツ 研究者 本間 敬之(早稲田大学)

汎用的に原子・分子レベル分解能で表面・界面分析が可能な透過型プラズモンセンサ(TPS)を装着可能な表面増強ラマン顕微鏡を開発した。本装置の特長は、最大0.1nmの原子・分子レベルの分解能で表面から界面の深さ方向化学構造の測定、デバイスの動的なオペランド化学構造・化学反応計測、通常のラマン分光法に比べ100万倍以上の感度で表面・界面近傍の化学構造・機械物性・物理的性質の測定、-20℃から1000℃以上の高温までのナノレベル薄膜や多層膜の温度測定、蛍光妨害の無い近赤外表面増強ラマンスペクトル測定が可能である。本装置を用いて自動車用エンジンオイルやタイヤ材料のトライボロジー界面のオペランド測定、超高密度記録磁気ディスクの熱アシスト磁気記録におけるレーザー加熱時のナノメートル多層膜構造の温度分布や化学構造変化測定、半導体のCMPプロセスの動的界面測定、Liイオン電池の充放電および太陽電池発電プロセスの界面計測などで性能実証した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

従来、非破壊で埋もれた界面を原子レベルの分解能で化学構造を分析する手法が無かったため、本開発の分析装置による学術分野および産業における波及効果は極めて大きい。特に新材料や機構の設計、プロセス開発、品質管理に期待される。埋もれた界面に関係する分野は、機械システム、電子デバイス、エネルギーデバイス、医療など多岐にわたり、その市場規模は自動車用タイヤだけでも数千億米ドルと巨大となる。

開発者の声

本開発の装置は、多くの共同研究先からのニーズに基づいて開発された。また従来未知であった埋もれた界面の化学構造、機械物性、物理的性質が明らかになってきたことで、新しい学術的な知見が多く得られ、さらに共同研究先での材料、デバイス開発に大きく貢献した。本装置は通常の分析装置と異なり、新しい原理に基づくことから解析のサポートが必須であり、組織的な取り組みがますます重要となる。


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