研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
レオロジー計測の可能性を大きく広げる粘性のリモート測定技術を確立!
キーワード :  レオロジー、粘性、弾性、リモート測定、インライン計測、特殊環境対応、超臨界流体、医療応用
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 産学共同(本格型)
研究開発課題名 遠隔電磁駆動(EMS)方式によるベンチトップを超えた粘弾性計測の展開(開発期間:令和2年12月~令和6年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社トリプル・アイ 研究者 酒井 啓司(東京大学)

レオロジーは液体の基本物性である粘性を計測する重要な要素技術である。特にインクジェットやマイクロ流路など流体を素材とする最新工学の発展に伴い、その需要はますます増加している一方で、技術的には前世紀からほぼ進化を遂げていない。
本開発では試料中のプローブを電磁力で遠隔操作するという独自の新技術を、工業現場におけるレオロジー計測に組み入れる開発を実施した。
その結果、様々な要素技術開発により200㎜を超える遠隔駆動距離を実現することで、工業レオロジー計測の対象範囲を大きく広げる成果を得た。具体的には超臨界における粘性測定や、パイプライン内部あるいは反応槽における数カ月に及ぶ長時間粘性モニタリングなど、これまでの卓上粘性測定装置では決して実現することのできなかった条件・環境で、しかも簡便かつ低コストでレオロジー計測を可能にした価値は非常に大きい。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

これまで多くのオペレーターの手により実施していた製造・貯蔵過程におけるレオロジー計測をすべて無人化・自動化することが可能となった。さらに揮発材料やバイオハザード、超高圧環境下などこれまでのベンチトップ粘度計では対応が困難であった測定対象も、簡便かつ安全に取り扱うことができる。

開発者の声

遠隔電磁駆動方式(EMS方式)をベース技術とした、多くの要素技術の開発と実用システムの構築ができたことは当社にとって大きな成果である。
自動化や省力化に寄与するインラインシステムに加えて、遠隔トルク伝達技術の開発により超臨界をはじめとする特殊環境下での気体粘性が計測可能なシステムを実現した。粘度の量子標準化が可能となり、日本発の技術を武器に世界へ挑めることは、産業的にも有意義な成果が得られたためと自負するものである。


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