研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
振り子の流力振動を用いた水流発電技術によりDX・GXを加速
キーワード :  流力振動、振り子、Hydro-VENUS、水流発電、自立電源、防災、治水、利水、漁業、AI、IoT
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウトタイプ
研究開発課題名 水害予測センシング網構築のための低コストかつ外部電源不要の流速計の開発(開発期間:令和3年5月~令和4年3月)
ニーズ元企業名 株式会社エナジーフロント 研究者 比江島 慎二(岡山大学)

水流による振り子の流力振動を利用した独自の発電技術「Hydro-VENUS」(特許第5303686号)を開発している。治水や利水、漁業などのDX化・GX化に必要なIoTセンサーや各種機器に対して、電源のないサイトでも身近な水流を利用して電力を供給できる。振り子の往復運動で発電するため、プロペラ回転による発電方式に比べて、河川や水路のゴミなどの漂流物が絡まりにくく、振り子を水平にすれば水深の浅い中小河川などにも設置が容易である。非常にコンパクトで、係留などにより水流に浮かべるだけなので躯体コストや設置コストにおいても有利である。
また、流速の変化に応じて発電電力が変化するHydro-VENUSの性質を利用して、それ自体を流速センサーとして機能させることも可能である。
河川に配備した多数のHydro-VENUSから得られる流速データを元にAI解析によって水害予測するシステムを開発中である。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

河川や農業用水路において、AIや物理モデルによる予測の活用が望まれており、データの取得が極めて重要である。しかし山間部や下水など氾濫の兆候が現れる場所は電線・通信線がなく太陽光発電や電池交換も行いにくい。本技術は文明の始まりからの課題と言える治水の本質的改善に貢献すると期待できる。渇水地域には最適制御、降水が多い地域では被害最小化の需要が望める。本質的に電源と通信網の配備にもつながりレジリエンス を実現する新たなインフラになる可能性がある。

開発者の声

A-STEP後に全国4ヶ所での実証を進め、データを蓄積しながらAI水害予測システムの開発を進めている。企業からの期待の声も多く、オープンイノベーションによる実現と社会実装に向けて進めていきたい。
現在は(株)ハイドロヴィーナスに特許を移転し技術の事業化を目指している。
この技術が経済産業省 中国経済産業局のJ-Startup Westに選定されたことが、岡山大学からプレスリリースとして発表されています。
●PR-FREE|岡山大学/岡山大学発ベンチャー企業2社がJ-Startup WEST選定企業に選ばれました[2023年11月]
富山県牛ヶ首用水における本技術の実証試験が各メディアで紹介されました。
●チューリップテレビ:2023年10月25日「独自器具で流速や水位を計測 用水管理のDX化に期待」
●富山テレビ:2023年10月25日「“AIを活用した用水管理”を実証…水位や流速を測定してデータ分析し氾濫予測などにいかす」
●日本経済新聞:2023年10月26日「水害対策、富山で実証 日本海ラボなど データ、AI分析」
※記事の全文は日本経済新聞の購読会員のみ閲覧可能です。
●北日本新聞:2023年10月26日「災害予測DX化、富山の用水で実証事業 日本海ラボと岡山大発ベンチャー」
●日本経済新聞:2023年10月31日「岡山大発新興など、水害対策の実証」
※記事の全文は日本経済新聞の購読会員のみ閲覧可能です。
令和5年度(第1回)西日本ブロック技術研究発表会において優秀賞を受賞しました。


このページの先頭へ