
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
キーワード :
サーカディアンリズム、睡眠、照度センサー、メラトニン、蛍光体、太陽光、青色光、分光分布、制御
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウトタイプ
研究開発課題名
在宅勤務時の生体リズムを整えるサーカディアン刺激制御照明システムの開発(開発期間:令和3年5月~令和4年3月)
ニーズ元企業名 オーデリック株式会社 研究者 明石 行生(福井大学)
ニーズ元企業名 オーデリック株式会社 研究者 明石 行生(福井大学)
ヒトの体内時計が刻む生体リズムは、24時間よりも少し長い周期を持ち、その位相は早朝の光により前進し、夜間の光により後退する。生体リズムを24時間に同調させるために、朝の起床後に十分な光を浴び、夜の就寝前に光を避ける必要がある。タイミング良く光を浴びられない場合、人工照明により補光する必要がある。ヒトの光センサーの分光感度は、視細胞より短い波長にピークを有する。今回、福井大学とオーデリックは、既往研究に基づいて時刻ごとに設定した光刺激の目標値を達成するサーカディアンシーリングライトを開発した。照度センサーにより光刺激の過不足を検出し、短波長LEDと長波長LEDの出力を調整することで効率よく目標値を達成する。今回、試作品を居室に設置して居住者の睡眠の深さを調べる実証実験を行った結果、既存の照明器具に比べて居住者の睡眠の質が高くなること、その結果は眠気の評価にも対応していたことを明らかにした。

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)
サーカディアンライトにより、ユーザーは生体リズムを整えられるようになり、睡眠障害や鬱病の罹患者を減らすことで人々の健康を向上し、社会的に生産性を高めることができる。住宅用シーリングライトの年間市場規模は600億円程度であり、当面はその1/3程度の200億円の売り上げが期待でき、将来的には全てのシーリングライトが同様の機能を有するようになると予測する。シーリングライト以外の照明器具に展開し、市場規模の拡大も予測する。健康家電市場とのシナジーも期待され、競争優位性を確立する意義が大きい。開発者の声
福井大学との共同研究により生体リズムの調整には、強い光刺激が必要であるため、照度センサーにより室内に入射する自然光の刺激量をモニターし、光刺激が足りない時に人工照明で補う方法を新規に創出した。実証実験により、その効果を実証することができた。本技術は、企業だけで開発することは非常に困難であり、本事業により、産学連携することで達成できたといえる。今後は住宅だけでなく、学校、病院、高齢者施設などに展開することで市場規模を拡大したい。
●オーデリック株式会社:製品情報
この成果は、以下のメディアにて紹介されました。
●電波新聞:2022年7月18日、7月21日、10月21日、2023年2月28日、5月25日
●2022年度(第55回)照明学会 全国大会