研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
電磁鋼板の飽和磁束密度領域での鉄損測定法の開発
キーワード :  鉄損測定、電磁鋼板、熱的測定、磁気的測定
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト
研究開発課題名 電磁鋼板の飽和磁束密度領域での鉄損測定法の確立(開発期間:令和2年11月~令和4年3月)
ニーズ元企業名 株式会社ブライテック 研究者 下地 広泰(大分県産業科学技術センター)

エネルギーの有効活用の観点から、モータの小型化、高効率化が進展するにつれ、モータは飽和磁束密度領域での駆動が求められている。しかしながら、モータに使用される電磁鋼板は磁気飽和が存在し、飽和磁束密度領域では効率が低下する。また、磁気現象に伴う損失である鉄損は、従来の磁気測定法で飽和磁束密度領域前までは磁束密度の約1.6乗に比例して増加するとされているが、飽和磁束密度領域での鉄損を正確に評価することは困難であった。そこで、本研究では飽和磁束密度領域での磁気特性や鉄損を高精度に測定できる装置開発(open-SST)に成功し、従来の磁気測定法と赤外線カメラを用いた熱的測定法を組み合わせることで、飽和磁束密度領域の鉄損の評価が可能になった。特に、熱的測定法において、諸問題を解決することで、測定法として確立した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

この測定技術は電気自動車や電動航空機のモータ性能改善用として応用が見込まれる。また、本研究開発で用いた熱的測定法はモータの損失を直接測定できる手法としてJIS C 2541「赤外線カメラによる鉄心表面の損失分布の熱的測定方法」として標準規格化され、モータ開発の新たな評価方法として、広く普及される。

開発者の声

本研究課題は電磁鋼板の飽和磁束密度領域での鉄損の解明といった企業ニーズに基づいて実施したが、それ以上に、新たな測定法の標準化に対するニーズが大きいことに驚いた。ニーズ元企業からは期待以上の成果と評価いただき、標準化の重要性も認識できた。今後は、標準化も見据えて、新たな測定法の研究開発を進めたい。


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