研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
無搖動防振装置~輸送時の振動・搬送物の揺れを低減させる装置~
キーワード :  振動絶縁、空間安定、無搖動化、共振、アイソレータ、加速度、減衰、制御ループ、ジャーク
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) NexTEP-Bタイプ
研究開発課題名 輸送事業向け無搖動防振装置(開発期間:平成30年12月~令和3年3月)
製品化企業名 多摩川精機株式会社 研究者 梶川 隆史(宇宙航空研究開発機構)

振動や揺れに弱い精密機器や美術品の輸送は、従前、特殊な機材と経験に頼り、専門業者が作業を行ってきたが、振動(鉛直方向の加速度)や揺動(前後左右の加速度)が搬送品に与えるダメージを抑えつつ、輸送効率を向上させることが求められる。
そこで、車両の振動や搖れが搬送物へ与える加速度の影響を抑える無搖動防振装置を開発した。本装置は、JAXAの「外部からの振動に対し、共振の相互影響をなくす手法により振動を絶縁する技術」を用いた振動アイソレータ、及び、当社のリアルタイムフィードバック制御による空間安定化・無搖動化技術を用いたジンバル構造型搖動台を採用している。これらを併用することで、輸送時の振動のみならず、車両の加減速や右左折による加速度の低減が可能になった。
本装置の性能においては、鉛直方向の加速度(振動)が-10 [dB]以上、水平方向の加速度(搖動)が-10 [dB]以上の減衰特性を有する。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

本装置の特長を活かし、車両等での輸送において、振動を抑えつつ、加減速等による加速度の影響を低減することで、輸送時の安全性が高まる。そのため、安全性が重視される搬送用途での活用が見込まれる。具体的には、文化財・美術品の輸送、ワクチン輸送などの医療分野、精密機器の輸送分野などが挙げられる。

開発者の声

開発過程においては、振動アイソレータと搖動台との相互作用により、振動減衰特性に影響を及ぼすことが判明したが、検出センサ追加と制御手法の見直しなどの対策により解決することができた。また、車両評価では、大型トラック評価の前段として、手押し簡易車両や小型トラックでの基礎データ取得により、課題を把握し、改善を繰り返したことにより、性能を達成している。


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