研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
プロトタイプ
反射型結像レンズを利用した超高分解能X線顕微鏡の開発
キーワード :  反射X線結像レンズ、Wolter III型ミラー、X線顕微鏡、多層膜ミラー、微焦点X線源
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) シーズ育成タイプ
研究開発課題名 高精度反射結像レンズを用いたnmスケール分解能X線顕微鏡の開発(開発期間:平成29年10月~令和2年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社リガク 研究者 松山 智至(大阪大学)

Wolter III型ミラーを含む反射型X線結像レンズを開発し、放射光源における15keVの高エネルギーX線を用いて、50nmの分解能を達成した。これを実験室において適用するため、CuKa(8keV)線および MoKa(17keV)のX線に合わせ結像レンズの設計製作を行った。またそれぞれのX線に最適化した多層膜をコートし、高い反射率を得た。製作した反射レンズの性能を放射光において確認した。それを実験室において、新規開発した高輝度微焦点X線源、多層膜コンデンサーレンズを用い、数十ミクロン径の照明光源と組み合わせることにより、50nm分解能が得られることを確認した。その際、放射光での確認なしで実験室のみでX線結像レンズを調整するシステムを確立した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

開発したX線顕微鏡の特徴の一つは、MoKα線が適用可能な点である。これにより、半導体デバイスを破壊することなく、内部構造を観察することが可能で、これによって、複雑化、多層化するデバイスに適用することで、製造プロセスの最適化に寄与すると期待される。また、CuKα線(あるいはCrKα線)は、材料や細胞のナノ構造を観察することを目指している。

開発者の声

大阪大学が開発してきたX線反射結像レンズを長さ2m程度の実験室スケールで実現できるよう、Wolter III 型を組み合わせたアイデアを A-STEPにより実証することができた。また、実験室光源と組み合わせたX線顕微鏡を試作し、50 nmの分解能を検証できた。この成果により、現在、製品化に向けた開発を進めている。


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