研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ICT・電子デバイス
プロトタイプ
3D画像計測技術を用いた熊本城の石垣復興支援システムの開発と実用化
キーワード :  3D画像計測、形状照合、文化財デジタルアーカイビング
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) シーズ育成タイプ
研究開発課題名 三次元画像認識・計測技術による熊本城の石垣復旧支援技術の開発(開発期間:平成29年10月~令和3年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 凸版印刷株式会社 研究者 上瀧 剛(熊本大学)

2016年の熊本地震により崩落した熊本城の復旧を支援するシステムを開発した。地震により崩落した石材は文化的価値を損ねないように元の位置に戻す必要があるが、崩落数が数万個に及ぶため、その特定作業は容易ではない。
これに対して、本プロジェクトでは、崩落前後の写真をもとに個々の石材の3D形状を復元し、パズルのように組合わせて照合することで崩落石材の元所在を特定するシステムを開発した。
実際に、飯田丸五階櫓の崩落石垣に対して、本システムを用いることで370枚の崩落後の石材写真から337個の石材の元所在を特定することができた(特定率91%)。
本結果を熊本市に提供し、石垣復旧設計に活用された。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

戦後最大の文化財被害を被った熊本城の復旧事業には約20年を要するとされている。本プロジェクトは、飯田丸五階櫓の復旧事業を通じて、今後の長期間に及ぶ石垣復旧の効率化に寄与する一つの成果を示す事ができた。また、自然災害の多い我が国における、デジタル技術を活用した文化財記録やその活用方法を示す好事例となった。

開発者の声

短期間で実用化までを達成でき、産学官(凸版印刷、熊本大学、熊本市)の連携がうまくいいったプロジェクトと考える。日本のみならず世界中に似たような文化財があり、今後も情報計測技術を用いた復旧が行われることが予想され、本プロジェクトはそのモデルケースになったと考える。
この成果は、科学雑誌 International Journal of Computer Visionに掲載されました。
●ISHIGAKI Retrieval System Using 3D Shape Matching and Combinatorial Optimization[2022年7月]


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